香取慎吾……自他ともに認める「パーフェクトビジネスアイドル」だ。10才からステージに立ち、それから35年間、昭和・平成・令和と3つの時代をアイドルとして大きな笑顔で世に希望を与え続けてきた。
そしてこのたび、ソロアーティストとしては初のアリーナライブ『香取慎吾LIVE「Black Rabbit」』(東京・有明アリーナ)を開催し、2万人を動員。
走り続けるうちに抱える葛藤、怒り、不安などは、人だからこそ抱えてきたはずだ。それを表現にぶつけてきたのだろう。香取の歌、ダンス、舞台表現は明るく楽しいのに、魂に訴えるほどの「凄み」がある。
このライブ時は、画家として3年ぶりの個展『WHO AM I-SHINGO KATORI ART JAPAN TOUR- 』の期間中だった。絵画作品でも、光と闇のコントラストに救済が見え隠れし、心に訴えかけてくる。Black Rabbit=黒うさぎは、そんな彼の内面から生まれた表現なのだろう。
キャリアを積み続け、走り続けてきた香取は、どのようなパフォーマンスで観客を魅了するのだろうか。『沼にはまる人々』(ポプラ社)などの著書がある、ライター・沢木文がレポートした。
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会場には、香取がプロデュースするアパレルブランド『JANTJE_ONTEMBAAR』(ヤンチェオンテンバール)を身にまとったNAKAMA(ファン)が多数。ファッションへの深い愛と造詣で知られる香取が作る服は、大人の気持ちをワクワクさせてくれる。
観客のメイン層は香取と同世代の40代、50代の女性。それでも“男性アイドル”のライブにしては、男性の割合もかなり多いし、親子、3世代と思われる姿も。
コンサート開始前から会場全体に「楽しい!」という気持ちが膨れ上がっていることがわかる。それがやがてアリーナの屋根を吹き飛ばすような熱気になり、待ちきれないファンたちは、開幕前から手拍子やペンライトで盛り上がりはじめた。
それが最高潮に達したタイミングで、ライブが始まる。オープニングのモノクロ映像には香取が生み出したキャラクターBlack Rabbitと本人が登場。そして、舞台奥の巨大なLEDビジョンが、香取の姿を照らし出す。輝くばかりの笑顔と純白の美しい衣装まとった彼が現れた。まさにパーフェクトアイドル。