北朝鮮の朝鮮労働党が今年に入って、地域の住民が参加する「草の根レベル」の学習会などにおいて、携帯電話の持ち込みを禁止する措置を新たにとっていることが明らかになった。党の勉強会での携帯電話持ち込み禁止が確認されたのは、初めてだという。
党中央は明確な理由を示していないが、住民が学習会などの会合の内容を記録して、韓国など海外に動画などが流出するのを防ぐためだとみられ、党指導部は北朝鮮国内の秘密保持に神経質になっているようだ。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
北朝鮮では、党の学習会への出席がすべての国民に義務づけられている。党指導部が新しい政策を推し進めたいときや、特定のイデオロギー的見解を強調したいときは、市民は公共のホールなどに集まって、幹部の話を聞いたり、映画を見たりしなければならない。これは、毎週行われる自警団の会合や、地域の会合などにも適用される。
昨年までは、これらの会合に携帯電話を持ち込むことができたが、今年に入ってからは、幹部が会場の入り口で待ち構えて「携帯電話は持ち込み禁止になりました。受付に預けるようにして下さい」と告げるようになったという。
平壌市内在住のある女性は匿名を条件にRFAに対して、「携帯電話を回収したのは朝鮮社会主義女性連合の代表だった。彼女は党の政策研究会を行う場所には携帯電話を持ち込まないようにという当局の命令を実行するためだと説明していた」と語っている。携帯電話は会場を出る際に返されたという。
ただし、勉強会の内容は新聞などで公開されることを前提にしており、携帯電話を取り上げることに疑念を抱く住民も多いようだ。
金正恩総書記は最近、党の会議で、「党内の機密保持は厳格に実行しなければならない」などと発言しており、「鶴の一声」で携帯電話の持ち込み禁止が決まったのではないかとの観測も出ているという。