1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏は、2022年3月から新人調教師として新たなキャリアをスタートした。蛯名氏の週刊ポスト連載『エビショー厩舎』から、ホースマンの1週間についてお届けする。
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皆さんの自宅にあるカレンダーのほとんどは、一番左が日曜日ですよね。日曜日にゆっくり休んで、月曜から「さあ仕事だ」という感じなのでしょう。
ところが、競馬関係のカレンダーは、ファン向けにつくられているものも含めて、だいたい一番左が月曜日、そして右が競馬の開催される土曜・日曜になっています。これはとりもなおさず、ホースマンが土日の開催をクライマックスに一週間単位で仕事をしているからです。
通常開催の翌日である月曜日は厩舎の全休日となっています。朝早く起きて厩舎に行かなくてもいい日。厩舎関係者の結婚式やパーティー、それからJRA賞の表彰式なんかもだいたい月曜日に行なわれます。
ジョッキー時代も一週間単位で、自分のルーティンが決まっていました。もっとも大事なのは体重の管理です。競馬が終わった日曜日の夜、つまり休日の前の晩は普通に食事をとっていいんだということで、少し解放感があります。それで火曜から調教が始まり、水曜、木曜と調教をして、金曜日の夜には「調整ルーム」に入って、外部との接触が禁じられます。
体重計には毎日乗りました。さすがに月曜日は少し増えていることもあるけれど、火曜、水曜と徐々にレースに向かって自分で(強調)体重を整えていきます。僕だけ食べるものが別というようなことではなく、「これは食べちゃいけないな」とか「ここまでにしておこう」とか調整していました。
よく「内助の功」なんて言いますけど、(元競馬中継アナウンサーだった一枝夫人は)あまり気にしていなかったと思いますよ(笑)。家族に気を遣わせたくなかったですしね。なかには子供が食べ盛りの時「お父さんが帰ってくる前に食べちゃいなさい」なんていう騎手の家族もいるみたいですけど。
僕はあまり減量に苦労する方ではなかったけれど、ウィークデーは調整ルームの風呂やサウナに入り、週末に向けて動きやすい体に持って行くようにしていました。急な減量で体調を崩したりすると、馬に乗る時も危ないですからね。
調教師になってからは体重に気を遣う必要はなくなりましたが、食事が一日2食というのは変わりません。食べ過ぎるとカラダのキレがよくないんです(笑)。