中国政府が昨年12月、3年間に及ぶ厳格な「ゼロコロナ」政策を撤廃したことを受けて、四川省重慶市の大手医薬品製造企業「重慶中元匯吉(ZYBIO)」のPCR検査キット製造工場で、大量の労働者が解雇された。約束された給料やボーナスも支給されないことに怒った約2万人労働者が今年1月初旬に大規模なデモを行い、警官隊と衝突。多数の負傷者が出ていたことが明らかになった。
重慶市在住の日本人駐在員のSNS「微博(ウェイボー)」などによると、これらの労働者はPCR検査キット製造のため、月給6000元(約12万円)、3か月間の勤務継続ごとに3000元(約6万円)のボーナスが支給されるという条件で臨時雇用されていた。しかし、中国政府が12月初旬にゼロコロナ政策を撤廃したことから、会社側は突然、労働者らに解雇を通知したという。
労働者らは春節の大型連休を前に、当てにしていた給料とボーナスが打ち切られたことに怒り、会社側に支払いを要求したが、拒否されたことで抗議行動を開始。デモには同社の臨時労働者だけでなく、彼らに同情した重慶市在住の労働者も加わり、デモ隊は一時、約2万人に膨れ上がったという。
ウェイボーでは「労働者は臨時雇いの若者が大半で、会社側は問答無用で解雇しようとした。彼らが怒るのも無理はない」との声や、「地元住民によると、重慶市大渡口区にある工場に機動隊(武装警察部隊)が派遣され、多数の負傷者が出た。あまりにも臨時雇いの若者たちがかわいそうだ」などと会社側の理不尽な対応を批判する声が多い。
また、ウェイボーでは「習近平政権が突然、ゼロコロナ政策を撤廃した無責任な対応が、臨時雇いの若者から職を奪ったのだ。習近平政権は何の手も打たずに政策を変更した責任をとらなければならない」などの書き込みも目立っている。