1月20日に開かれた厚労省の分科会で報告された、新型コロナのワクチン接種後の死亡事例は、ファイザー1751件、モデルナ211件、武田1件の計1963件だった。だが、これらはあくまでも医療機関またはワクチン製造販売業者から報告された死亡事例に過ぎない。ワクチン接種後に死亡した遺族の相談に乗るNPO法人「駆け込み寺2020」理事の鵜川和久さんが言う。
「本来、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)への報告は医師の義務ですが、ほとんどの医師は義務を果たしていません。ワクチン接種後の死亡として公に報告された件数は氷山の一角なのです」
接種後に亡くなった人々はどのように死を迎え、遺族は何を思うのか。
「あれからちょうど1年半が経ちましたが、まだ妻の死を受け入れられません」
そう悲しみの表情で語るのは、愛知県在住のYさん(53才)だ。Yさんの妻が1回目のファイザー製ワクチンを接種したのは2021年7月15日。妻は多少の腕の痛みを感じたものの目立った副反応はなく、普段と変わらない生活を続けた。平穏な日々が一変したのは接種から4日目の朝だった。
「すごく頭が痛いから、すぐに帰ってきて」
午前10時半、Yさんに自宅の妻から電話が入った。
「急いで家に帰ると妻はソファでぐったりし、“頭が痛くて気持ちが悪い”と言いました。ぼくが背中をさするとそれも嫌がる素ぶりで、みるみる具合が悪くなった。慌てて119番しましたが、救急車が来るまでに彼女は意識がなくなり、呼びかけにも応じなくなりました」(Yさん・以下同)
当時は第5波の真っただ中で搬送先が決まるまで1時間近くかかった。ようやく病院に搬送すると診察した医師は「厳しい状況だ」とつぶやき、緊急手術をしたが妻の意識は戻らなかった。
永遠の別れが訪れたのは妻が倒れてから5日後だった。
「夜9時頃でした。ずっと妻の手を握って“頑張れ、頑張れ”と呼びかけていたら、最後に彼女がぼくの手をギュッと握り返し、そのまま息を引き取りました。すごく強い力でぼくの手に妻の爪が食い込むほどでした」
妻が倒れてから、Yさんは何度も担当医に接種の影響を尋ねたが、答えは「ワクチンは関係ない」だった。
「妻はこれまで病気をしたことがなく、勤め先の健康診断も異常はなかった。ぼくはワクチンが気になって何度も担当医に尋ねましたが、“因果関係はありません”とにべもなかった。厚労省への報告を頼んでも、なかなか受け入れられませんでした。最終的には“お金がかかわってくることですからね”と、渋々といった様子で書いてくれたような感じでした」
担当医が厚労省に報告したのは妻が亡くなった2週間後だった。その後、現在にいたるまで厚労省や病院からの問い合わせや報告はない。Yさんがつぶやく。
「いまも妻を思わない日はありません。ワクチンを打ち終えたら自宅をリフォームする予定で、ふたりで壁紙をどうするか話し合っていました。妻は脳出血で亡くなりましたがワクチンとの関連がわからないのですっきりしません。せめて国にはワクチン接種と死亡の因果関係を判断する基準を明確にしてもらいたい」
※女性セブン2023年2月9日号