当初、感染予防とされていた新型コロナのワクチンの効果は、いつの間にか重症化予防にすり替わっていた。1月20日に開かれた厚労省の分科会で報告されたワクチン接種後の死亡事例は、ファイザー1751件、モデルナ211件、武田1件の計1963件だった。だが、これらはあくまでも医療機関またはワクチン製造販売業者から報告された死亡事例に過ぎない。実際にどのような形で死を迎えたのか。そして遺族は何を思うのか。
その夜、神奈川県在住のA子さん(67才)は胸騒ぎを感じた。就寝前、トイレに行った夫がなかなか戻ってこなかったのだ。様子を見にトイレに向かうと、夫(当時71才)は仰向けで倒れていた。
「苦しそうな様子はなかったけど口から泡を吹いていました。慌てて救急車を呼び、名前を叫びました。でも反応がなく、心の底から恐怖を感じました」(A子さん・以下同)
救急車が到着したが夫はすでに心肺停止状態で、医療従事者の必死の看護も実らなかった。呆然とするA子さんの胸に、ある思いがこみ上げた。夫の死はワクチンのせいに違いない──突然死の前日である2021年6月9日、夫婦は1回目のモデルナ製ワクチンを打つため、連れだって接種会場を訪れた。
「夫は接種後すぐに腕に痛みを感じたようで15分の待機時間の間、“腕が痛い”と言っていました。翌朝は腕が上がらないほど痛みが増していましたが、それ以外はいたって普通でした」
夫は食欲もあり、その日の夕食はあじの開きを2枚も平らげた。就寝前に布団を敷き、「トイレに行ってくる」と言い残して寝室を離れ、そのまま帰らぬ人となった。遺体は警察署で検案され、死因は心筋梗塞による突然死であり、ワクチン接種と死は無関係と断定された。遺族としては受け入れられないと、息子が語る。
「父は高血圧や尿酸値を下げる薬はのんでいましたが、突然死するような状態では全然なかった。むしろ健康管理に気を使って2か月ごとに通院して薬をもらい、大病やけがもなかった。だからどうしても父の死がワクチンと無関係とは思えないんです」