香港大学公衆衛生学部疫学科の研究グループは国際的な学術誌『ネイチャー・メディシン』に論文を発表し、2023年1月末までに北京の人口2200万人の90%以上が新型コロナウイルスに感染するとの予測を発表した。また、中国全体では、今後数か月で感染者が人口14億人の半数の7億人に達する見込みであることも明らかにした。
中国政府が2022年12月に厳しい感染対策を撤廃した結果の感染者数増加であり、ネット上では中国政府の無策ぶりを批判する声が相次いでいる。香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が報じた。
同論文では、昨年11月と12月の2カ月間、北京でオミクロン変種株BF.7の感染率を追跡調査した結果をまとめ、その後の感染者数を予測。12月22日時点で北京の約76%の人が新型コロナウイルスに感染しており、1月31日までに92%に達する見込みだという。
また、中国全体で見ると、12月1日から12月20日までの新規感染者は推定2億4800万人で、これは中国の人口の18%に相当する。感染のペースが変わらなければ、2022年内の新規感染者数は3億人を超えている可能性がある。
さらに、論文は「中国では世界のどこよりも最も速く感染が拡大するなど、感染者が人口の半数以上にも及ぶ感染爆発が起こる」と警告している。
その原因は中国政府が12月初めまで「ゼロコロナ政策」の下で厳重な管理態勢を敷いており、国民の大部分はウイルスに対する免疫をほとんど持っていないためだ、と論文は指摘している。
1月21日の春節(旧正月)から始まった大型連休の前後では延べ20億9500万人が移動すると予測されているが、感染のピークアウトはまだ見通せず、医療体制の脆弱な農村部での感染爆発も予想されるだけに市民からの指導部への不満も高まっているようだ。