いま日本全国で起きている強盗事件。住民の在宅時を狙い、危害を加えて金品を奪う強盗団は、暴力の行使に躊躇もなく、短期間で凶行を繰り返している。
元警察官で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は、この窃盗グループの素性について、暴力団に所属せずに常習的に犯罪を行なう「半グレ」の関与を指摘している。半グレの実態に詳しい作家の草下シンヤ氏は犯行の手口について、こう解説する。
「いわゆる“裏の名簿屋”から詐欺に引っかかりやすい高齢者や資産家のリストを購入してターゲットを決めている。目星をつけた家に訪問販売員やリフォーム業者などを装って訪ね、資産状況や家族構成を調べ、精度を上げてから犯行に及びます」(草下氏)
危険な半グレ強盗団からどう身を守るべきか。大事なのはターゲットにならないことだ。
「基本は、家に現金を置かないこと。高齢者は現金が手元にないと心配になりますが、そうした考えが強盗団のカモになる原因です」(小川氏)
当然、ご近所や知人に資産状況などを明かすことは厳禁。
「突然の訪問販売やリフォーム業者を自宅に上げてしまうと資産状況を把握される危険性があります。注意したいのが電話やDMでのアンケート。プレゼントがもらえるなどと言われ答えると、そこに書かれた個人情報が名簿に載るリスクが高まります」(草下氏)
さらに草下氏はSNSの利用にも注意を促す。
「強盗グループにはSNSを調査する人物もいて、“インスタパトロール”などと呼ばれています。SNSに時計や車、バイクの写真を載せたり、豪勢に飲み歩いている様子をアップしているとターゲットになりやすい」
半グレ強盗団は在宅時を狙ってくるのも大きな特徴だ。窓ガラスを割られて侵入するケースが多く、防犯フィルムを貼ったり、防犯ガラスに変えるのも効果的だという。
「玄関のドアを開けた瞬間に押し入る手口も目立つので、宅配便が来ても、玄関をいきなり開けず、必ずチェーンロックをしたまま確認する。宅配ボックスや配達物を玄関前に置いてもらう『置き配』にするのもいいでしょう。
また、強盗団は必ず下見をするので、家の周辺を不審な車や人物がうろうろしていたら、近隣で共有し、警察に相談すべきです」(小川氏)
もはや日本は安全大国ではない。その意識を持つことが何より大切だ。
※週刊ポスト2023年2月10・17日号