大学生たちが手塩にかけた国産和牛が次々とブランド化している。研究や実習目的で育てられてきたが、餌の改良や受精卵、遺伝子の研究が実を結び、高級和牛に引けを取らない“美味しい”牛肉を生産できるようになった。北里大学、宮崎大学、京都大学で国産和牛の飼育現場に密着した。
【北里大学】牧草だけを食べて育った北のオーガニック牛
函館空港から車で約1時間半の距離にある北里大学八雲牧場は、東京ドーム約80個分の広大な敷地を有する。冬期以外は24時間、完全放牧されて育つ「北里八雲牛」は、2009年に肉用牛として日本初の有機JAS認証を受けた。
「一般的には牛を肥育する際、トウモロコシなどの穀物を与えますが、北里八雲牛は化学肥料、農薬を一切使用しない牧草のみを食べて育ちます。飼料の自給率は100%。脂が少し黄色くなるので見た目はよくないかもしれませんが、肉本来の旨みを味わえます。私たちが目指すのは、“究極の赤身肉”です」(北里大学獣医学部講師・小笠原英毅氏)