たれぱんだ、リラックマなどが人気のサンエックスのオリジナルキャラクター。ストーリー性のあるちょっぴりネガティブなところや、立体のかわいさが愛されている。これまでに生み出された数は、なんと1000を超えているというが、大きな転機となったのが「たれぱんだ」の誕生だ。
「たれぱんだ」からすべては始まった
1995年、当時新人だったデザイナーの末政ひかるさんが、シール用の一案として考えたパンダのキャラが、のちの「たれぱんだ」となる。
ボツばかりでヤケ気味になっていたとき、やっと採用されたというキャラクターだった。だが、12種類販売されたシールの中でも、群を抜いて売れたという。
でもその後、すっかり忘れられていた「たれぱんだ」を末政さんが立体的にデザインし直して再提案し、手描きで仕上げたのがいまの「たれぱんだ」だという。
すると、老若男女問わず人気が爆発。一種の社会現象にもなったが、これはまったくの想定外だったという。
「それまで文具といえば、購買層は子供や女性が中心でしたが、日本経済が長く低迷する中で、体力的に疲れて心も疲弊したサラリーマンを中心に『“たれたれ”した姿が心にささる』と多くの男性にもグッズを買ってもらえたんです」(広報担当・富田杏奈さん・以下同)
文具以外にもぬいぐるみや絵本などが発売され、専門店も誕生。企業のCMにも起用されるなど、これまでにない広がりを見せた。
「『たれぱんだ』は、ライセンスビジネスの可能性を見せてくれたキャラクターでもあったんです」
『たれぱんだ』
さわるとやわらかく、意外としっとりしている。好物は和菓子の「すあま」。すあまを透明のビンに入れておくと、つかまることもある。足は4本あるものの、歩きはせずにもっぱら転がって移動する。体長は5cm〜3mと個体差がある。分裂して増えるという噂も。
取材・文/苗代みほ
※女性セブン2023年2月16日号