春季キャンプ初日から「アーリーワーク」に取り組むなど話題を集めている巨人。プロ3年目の秋広優人が三塁に挑戦し、ドラフト4位の門脇誠(創価大)が攻守でアピールするなど若手のハツラツしたプレーが目立つが、明るいニュースばかりではない。先発ローテーションで期待される山崎伊織、堀田賢慎の両右腕が共にコンディション不良と調整遅れでファームに降格。第1クール最終日での早々の戦線離脱に、原辰徳監督も頭が痛いだろう。
巨人を取材するスポーツ紙記者はこう指摘する。
「山崎、堀田は過去にトミージョン手術を受けているので無理をさせられない。大事になる前にストップを掛けましたが、調整遅れは必至です。昨年は1軍で経験を積んできて、今シーズンは先発である程度頑張ってもらわなければいけない投手だけに、大きな誤算です。そもそも、巨人は先発、救援のコマが足りていない。今後、トレードを画策する可能性は十分にあると思います」
5年ぶりのBクラスに沈んだ昨季はリーグワーストのチーム防御率3.69。計算できる先発陣は戸郷翔征、菅野智之の2人のみで新外国人投手たちは未知数だ。救援陣も昨季53試合登板した平内龍太が昨年11月に右肘を手術したため、育成契約に。開幕までには間に合うと見られるが慎重に調整させる方針だ。ドラフト5位の船迫大雅(西濃運輸)は即戦力のリリーバーとして期待されるが、先発、救援共に昨年からのプラスアルファが少なく不安が残る。
「FA補強でウィークポイントを解消するのが巨人のお家芸だったが、今オフは動けなかった。FA市場で野手は近藤健介(日本ハム→ソフトバンク)、森友哉(西武→オリックス)と大物が多かったが、投手は西勇輝(阪神)がFA権を行使した上で残留を決断。他に目ぼしい投手がいなかった」(民放テレビ関係者)
残る補強策はトレードだ。その可能性は十分にある。巨人は外野陣が飽和状態だからだ。左翼は新たに2年契約を結んだウォーカー、中堅に新外国人のブリンソン、右翼が丸佳浩の布陣が有力と見られるが、秋広、増田陸、ドラフト2位の萩尾匡也(慶大)ら能力の高い若手が控えている。さらに広島から長野久義も復帰。ドラフト1位・浅野翔吾(高松商)もチームを背負って立つスターとして、早期に1軍でチャンスを与えられる可能性がある。上記の選手たちに押し出される形で、序列が「8番手以下」になっているのが、松原聖弥、重信慎之介、石川慎吾ら中堅の選手たちだ。