近年、部活動を巡って生徒の人格を否定するような暴言や高圧的な指導で、生徒を精神的に苦しめる「ブラック部活」が問題化している。不適切な部活動の運営が原因となって、それがいじめや自ら命を絶つといった悲劇につながるケースもある。昨年、過去4度の全日本バレーボール高等学校選手権大会(以下、春高バレー)出場を誇る強豪校でも生徒を苦しめるような問題が起きていた。【前後編の前編】
「『この学校で春高バレーを目指したい』。そう希望を持って入学した3年生の部員5人が、昨年夏の春高バレー予選前に突如、引退させられました。何も聞かされていなかった保護者らは驚き、すぐに学校で緊急保護者会が行われました。その席で明らかになったのは、監督、コーチら指導者による部員への暴言とモラハラによる『ブラック部活』の実態でした」
こう告発するのは、福岡県にある西日本短期大学附属高等学校(以下・西短)の女子バレーボール部の関係者だ。
約40年、同校の女子バレー部を率いてきたベテラン男性監督(60代)と同校OGの女性コーチ(30代)が、女子部員に対する度重なる暴言、モラハラなどが問題視され、昨年9月末に学校を辞職していたことが『NEWSポストセブン』の取材でわかった。
事の発端は昨年8月下旬。「お願いだから辞めてくれ」という監督の一言で、様々な問題が明るみになっていったと、前出のバレーボール部関係者が打ち明ける。
「約30人の部員が寮で生活をしていました。突然、監督が鹿児島への遠征前に3年生12人全員に対して『お前たちを育てることができなかった。週末の遠征に3年生は連れて行けない。遠征費は返す。お願いだから部を辞めてくれ』と話して1万円ずつ渡したのです。
子供たちはお金を受け取らざるを得ず、そのまま寮に残りました。寮で食事を作って遠征から戻ってきた1、2年生を労おうと笑顔で出迎えたのですが、『なんでそんな顔でいられるんだ!』と、監督が怒鳴。結果的にそれがきっかけで5人の部員は引退を余儀なくされ、寮から自宅に戻りました」