「10年に一度」「記録的大雪」──日本中が大寒波に震えている今冬、風邪やウイルスのまん延と同等あるいはそれ以上に気をつけなければならないのが体の冷えだ。
福井県済生会病院産婦人科部長の細川久美子さんは「冷えは万病のもと」と、こう警鐘を鳴らす。
「体温が下がると全身の血の巡りが悪くなります。その結果、肩こりや頭痛、関節痛など体のこわばりが原因で起きる不調に加え、便秘や下痢、生理不順、アレルギー疾患、更年期症状といった血管や血流に関連する病気や不調も引き起こしやすくなります」
さらに恐ろしいのは、体が冷えた状態が長く続くと臓器やメンタルにも影響が出る可能性があることだ。イシハラクリニック副院長の石原新菜さんが解説する。
「体を健康に保つための第一条件は、すべての臓器が元気に働いていること。そのためには血液によって体中に酸素や栄養素を行き渡らせる必要があります。翻っていえば、体の冷えによって血流が滞ると臓器の働きが弱まり、老廃物も排出できなくなって細胞の活動が停滞します。その結果、臓器や細胞の機能が低下するうえ、免疫力も下がります」
田中病院院長の田中優子さんも声を揃える。
「実際に、体温が0.5℃上がると免疫力は2倍になるといわれています」
つまり、体温が高い人の方が免疫力が高く、風邪やウイルスを寄せつけにくいのだ。
「加えて、低体温の人ほど気分が落ち込みやすく、不眠にもなりやすいという調査もある。冷えはメンタルにも影響するのです」(石原さん)
では、病気やウイルスを寄せつけない温かい体を作るためには何が必要なのか。食と健康の専門家に、瞬時に体を温めて冷えを解消する「最強食品」についてアンケートを実施。「一瞬で体温を0.5℃上げる最強食品ランキング」を作成した。
【ランキング作成方法】
以下、20人の「食と健康の専門家」に「体を芯から温める最強食品」を挙げてもらい、1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として集計。5点以上を獲得した食品を掲載した。
石原新菜さん(内科医)、磯村優貴恵さん(管理栄養士)、小倉朋子さん(フードコンサルタント)、金丸絵里加さん(管理栄養士)、川﨑真澄さん(日本温活協会)、川嶋朗さん(統合医療SDMクリニック院長)、工藤孝文さん(みやま市工藤内科院長)、黒田愛美さん(医師/アスリート)、清水加奈子さん(管理栄養士)、田中友也さん(国際中医専門員)、田中優子さん(田中病院院長)、中沢るみさん(管理栄養士)、浜本千恵さん(管理栄養士)、藤岡智子さん(栄養士/フードライター)、細川久美子さん(産婦人科医)、堀知佐子さん(管理栄養士)、前田あきこさん(管理栄養士)、望月理恵子さん(健康検定協会/管理栄養士)、矢澤一良さん(早稲田大学ヘルスフード科学部門部門長)、渡辺愛理さん(管理栄養士)
しょうがはマストで日を通す
専門家たちから圧倒的な支持を得て首位に君臨した「しょうが」は、その血行促進効果に注目が集まった。
「しょうがの辛み成分には血流をアップさせ、冷えた体を温める働きがある。特に胃腸の冷えには高い効果を発揮します。加えて薬膳の世界では消化不良や食欲不振にも効果があるとされており、寒さでエネルギーが奪われた冬の日に食べるにはもってこいの最強食品です」(管理栄養士の清水加奈子さん)
ただし、温熱効果を最大限に実感するためには、ひと工夫が必要だ。
「辛み成分は『ジンゲロール』と呼ばれ、そのものにも血行促進作用がありますが、熱を加えたり乾燥させたりすると、さらに温め効果が高く、保温効果も長く続く『ショウガオール』に変化します。つまりしょうがは、温かい料理や飲み物に入れたり、乾燥させた粉末を使う方が体温を上げやすい」(石原さん)