日本サッカー界のレジェンド、「キングカズ」こと三浦知良(55)がJ1の横浜FCからポルトガル2部のオリベイレンセに今夏までの期限付き移籍することが発表された。2月26日に56歳の誕生日を迎えるカズだが、プロ38年目となる今年も変わらず現役を続行している。今回の移籍で、ブラジル、イタリア、クロアチア、オーストラリアに続く5か国目の海外リーグ挑戦となる。
これまで数々の最年長記録を樹立してきたカズだが、さすがに海外挑戦は心身ともに負担も大きいだろう。さらにいくらレジェンドとはいえ、海外クラブが今年56歳になる選手を獲得するだろうか──。サッカージャーナリストの財徳健治氏が言う。
「オリベイレンセはポルトガルのチームですが、カズが所属する横浜FCの親会社『ONODERA GROUP』が経営権を持っています。しかもつい先日、横浜FCの山形伸之CEOが会長に就任することが発表されたばかり。今回のカズの獲得は純粋な戦力拡充というより、ビジネスやマーケティングの側面から日本市場の関心を集めたいという意向があるのではないでしょうか。
また、移籍は夏までの『期限付き』ですぐに日本に戻ってくることが前提です。カズは昨年、兄・泰年氏が監督兼ゼネラルマネージャーを務めるJFL所属の鈴鹿ポイントゲッターズに期限付き移籍していました。近年は横浜FCでの出場機会が減少していたこともあり、ファンからするとどこか“尻すぼみ”になっているように感じられたはずです。横浜としては最後に海外に挑戦するという現役引退への花道を用意したのではないでしょうか」
たしかに今回の移籍に伴って「カズのために専属シェフやトレーナー、カメラマンまで同行するそうだ」(スポーツ紙デスク)と、かなりの厚遇を受けるようだ。ただ移籍はカズのキャリア上の話にとどまらず、海外移籍を目指す後輩たちにも好影響を及ぼすかもしれない。
「カズがポルトガルで戦力になるかはわからないが、これで日本でのクラブの知名度は上がりました。若手にとってはルートができたわけです。オリベイレンセが日本の若手選手の受け皿となって、日本サッカー界のさらなるステップアップにつながれば、カズがまたひとつ功績を残したということになるでしょう」(財徳氏)
新しい所属先であるオリベイレンセは平均年齢25歳という若いチーム。不屈のレジェンドは異国の地で若者との争いを制して、レギュラーを獲得できるか。
※週刊ポスト2023年2月24日号