国内

ワクチン接種後の死亡例「死因」を分析 高齢者にとって「最後の一押し」になることも

(写真/PIXTA)

新型コロナワクチン接種後の死亡例を分析(写真/PIXTA)

 新型コロナウイルスのワクチン接種開始から2年が経ったが、一方で接種後の死亡例にも注目が集まっている。1月20日の厚労省審議会によると、接種開始から昨年12月18日までに接種後の死亡として報告された事例は1966人(ファイザー製1751人、モデルナ製211人、武田薬品製1人、ファイザー製5〜11才用3人)に達する。この事実から何を学ぶべきだろうか。厚労省の報告書をもとに、1966人の「死因」について接種回数別にまとめた。

 接種回数別の「死因」は、「不明」を除くと、1〜3回目接種で「状態悪化」がトップだった。名古屋大学名誉教授で医師の小島勢二さんが説明する。

「状態悪化とは、もともと基礎疾患を持っていた患者が、ワクチン接種後に基礎疾患が増悪して死亡した症例です。そうした場合の基礎疾患の多くはがんで、認知症や慢性の肺疾患のケースもあります」

 新潟大学名誉教授で医師の岡田正彦さんも「ワクチンが最後の一押しになる」と語る。

「高齢者は体中の細胞がギリギリの状態でがんばっていて、原因が何であろうが少し発熱しただけで食欲が急に落ち、活力がなくなって看取りに至ることがしばしばあります。ワクチンの副作用も若い人なら体がだるくなるだけでも、体力の衰えた高齢者には命にかかわります。いまにも消えそうだった寿命のろうそくの炎を、ふっと吹き消したのがワクチンだったのではないでしょうか」(岡田さん)

 接種回数にかかわらず、死因リストの上位を占めるのが「心筋炎」「急性心筋梗塞」「急性心不全」「心筋梗塞」などの「心臓障害」である。ここで注目すべきは「心筋炎」だ。心臓の筋肉が炎症を起こし、血液を送り出すポンプ機能が低下し、心不全や不整脈が引き起こされる病気だ。無症状の場合もあるが、息切れや胸痛が出ることがあるほか、不整脈による動悸、失神や呼吸困難が生じ、最悪の場合は突然死してしまう。

 厚労省は公式に心筋炎を「ワクチンの重大な副反応」と位置づけて、各ワクチンメーカーは添付文書に《心筋炎、心膜炎があらわれることがある》と明記している。

「海外の報告でもワクチン接種後に心筋炎が増えるといわれています。とりわけ日本では10〜30代の若年男性が心筋炎で死亡するケースが目立ちます」(小島さん)

 2021年8月、中日ドラゴンズの木下雄介投手(享年27)が突然死した。木下投手は、1回目のワクチン接種から数日後に激しいトレーニングをしている最中に倒れ、心臓の周辺から生じた何らかのトラブルが脳に達し、命とりになったと報じられた。

「接種後、心臓に強い負荷が加わるとリスクが大きい」

 血液内科医の中村幸嗣さんが指摘する。

関連キーワード

関連記事

トピックス

無罪判決となった須藤早貴被告
《紀州のドンファン・13億円の遺産》「私に渡したいって…」元妻・須藤早貴被告が無罪判決で勝ち取る「13億円遺産相続」のゆくえ 野崎さんきょうだいら・田辺市との“3すくみバトル”
NEWSポストセブン
民事裁判は今年11月26日、新井氏に165万円の支払いを命じた判決が確定している
【今度は「胸と太ももを触られた」と主張】群馬・草津町長からの“性被害でっちあげ”の罪に問われた新井祥子・元町議 初公判で主張した“わいせつ行為”の内容の不可解な変遷
NEWSポストセブン
渡辺氏から直接、本誌記者が呼び出されることもあった(時事通信フォト)
《追悼・渡辺恒雄さん》週刊ポスト記者を呼び出し「呼び捨てにするな、“ナベツネさん”と呼べ」事件
週刊ポスト
平原容疑者の高校生時代。優しい性格だったという
【北九州・女子中学生刺殺】「まさかあいつが…」平原政徳(43)の高校クラスメイトが語った素顔「バスケ部で、喧嘩を止めるタイプだった」優しい男が凶悪犯に変貌した理由
NEWSポストセブン
送検時の平原容疑者(共同通信)
「大声出して何が悪いんだ!」平原政徳容疑者(43・無職)、事件3日前に「大量のカップ酒」空き瓶が…ゴミ収集車が行った後に 近隣住民が感じた恐怖【北九州・女子中学生刺殺】
NEWSポストセブン
杖なしでの歩行を目指されている美智子さま(2024年3月、長野県軽井沢町。撮影/JMPA)
美智子さま、「海外渡航はもうおしまい」と決断か 来年度予算から地方訪問同行職員の航空チケット経費が消滅 過去の計128回海外訪問も韓国訪問は叶わず
女性セブン
筒香嘉智が今季を振り返る(撮影/藤岡雅樹)
【筒香嘉智インタビュー】シーズン中に電撃復帰した“ハマの主砲”が喜びを語る「少しは恩返しできたかな」「最後に良い感覚がやっと戻ってきた」
週刊ポスト
球界の盟主が”神の子”に手を差し伸べたワケは(時事通信フォト)
《まさかの巨人入り》阿部監督がマー君に惚れた「2009年WBCのベンチ裏」 幼馴染・坂本勇人との関係は「同じチームにいたくない」
NEWSポストセブン
中居正広
【スクープ】中居正広が女性との間に重大トラブル、巨額の解決金を支払う 重病から復帰後の会食で深刻な問題が発生
女性セブン
今オフのFA市場で一際注目を集めた阪神の大山悠輔(時事通信フォト)
もし、巨人が阪神・大山悠輔を獲得していたら…レジェンドOBが侃々諤々「一体、どこを守らせるつもりだったんですかね?」
NEWSポストセブン
大河ドラマ初出演、初主演の横浜流星
横浜流星、新大河ドラマ『べらぼう』撮影でアクシデント “祠を背負って何度も猛ダッシュ”で…想像を絶する「根性」
女性セブン
ワールドシリーズを制覇し、3度目のMVPを獲得した大谷翔平(写真/AFLO)
【故郷で異変】大谷翔平 「グッズ爆騰」で「小学校時代の直筆手紙」が”閲覧不可”になっていた
NEWSポストセブン