寒さの続く今日この頃。寒空の下でお出ましをされる皇族方は、防寒を充分にしながらも、おしゃれさと上品さを兼ね備えた“冬ファッション”を着こなされています。皇室ファッションに詳しい青木淳子さんの分析のもと、雅子さまのエレガントな佇まいを紐解くと、「上品さの源泉」が見えてきた──。
「皇族方の冬ファッションで特徴的なのは、色味を抑えて、ワントーンあるいは少ない色でコーディネートされているところでしょう。さらに、手袋やお帽子、靴などは服と同系色か黒で引き締め、イヤリングやブローチといったアクセサリーでほんの少し華やかさを出されている。それらが落ち着きと品格につながっていると思います」(青木さん・以下同)
雅子さまは帽子やスカーフなど、小物使いも秀逸だ。
「お帽子は、基本的に洋服と同じ色味で、全体をすっきりと見せています。素材がベルベットであったり、リボンやファーがあしらわれていたりとお洒落で、それが優雅さにつながっているのではないでしょうか」
それでは具体的に、雅子さまのファッションを見ていこう。
【解説はこの人】
歴史文化学研究者・青木淳子さん/大東文化大学、学習院女子大学、フェリス女学院大学、実践女子大学などで非常勤講師を務め、日本フォーマル協会特別講師も務める。服飾文化史などを専攻し、皇室ファッションに詳しい。
●1998年2月 長野オリンピックにて
ロイヤルブルーのダブルのスタンドカラーのロングコートにロイヤルブルーのベルベットのお帽子を合わせた上級者コーデ。
「深みのあるベルベットの素材感と色味が、黒のスエードのブーツ、バッグ、手袋といった小物とのつなぎになって自然な雰囲気に。イヤリングは雅子さま定番の大きなマベパールで、装いを一点華やかに明るくしています」(青木さん・以下同)
●1998年2月 長野オリンピックご観戦
「純白のダウンコートの開いた襟元から赤色がのぞき、口紅の色と相まってアクセントに。さらに、お顔を縁取るようにたっぷりと白いファーが付いたお帽子で、目の大きさも強調されています」
●2008年1月 長野・冬季国体開会式
すっきりしたベージュ系オフホワイトのコートにお揃いの色のお帽子をチョイス。
「襟は首元が詰まったスタンドタイプのショールカラーで、左側に大きめのボタンが並んだすっきりしたデザインです。右手薬指の大きめのパールの指輪とイヤリングが、華麗さを添えています」
●2017年2月 天皇皇后両陛下ベトナムご訪問お見送り
現在の上皇ご夫妻のお見送りの際には、ダークグリーンのすっきりしたコートをお召しに。
「お帽子とコートは同じ色味ですが、お帽子のサイド、バッグ、手袋とパンプスがお揃いの黒で、シンプルでお洒落でありながら全体を引きしめ、上品です。胸元の大きなパールをあしらったブローチが装いを格のあるものにしています」
●2019年11月 京都御所でのお茶会ご出席
「織文様の白いコートはデザインこそシンプルですが、それだけに胸元のブローチがよいアクセントになっています。さらに、お帽子にあしらわれた薄いピンクのオーガンジーが、軽やかで優雅なイメージを演出。小物は薄いベージュ系で、上品にまとめられています」
●2022年12月 『Drコトー診療所』チャリティー上映会
光沢のある濃いめのベージュのジャケットに、濃いブラウンの光沢あるパンツを合わせたコーデ。
「光る素材がエレガント。テーラードカラーのデザインが、雅子さまの端正さを引き立てています。スカーフはブラウンそしてラズベリー、フューシャ、ワインなどさまざまなピンク系統の色味が入っており、装いをよりいっそう華麗なものにしています」
●2023年1月 皇宮警察本部年頭視閲式
「サッシュで締めるテーラードタイプの長めのコートに、ストレートのパンツ、首元のスカーフ、バッグも手袋も同色系。全身ベージュの装いは、ややもするとぼんやりした印象になりがちですが、お帽子のリボンと明るめのブラウンの靴が全体を引き締めています」
※女性セブン2023年3月2・9日号