糖質制限、筋トレ、“〇〇抜きダイエット”……やせるための方法は多々あれど、結局、余分な脂肪さえ消えてくれればいい! それならまずは「油」を制すことだ。正しい油の食べ方さえわかれば、おいしいものをがまんせず、勝手にやせる体が手に入るかもしれない。
高カロリーなものを避けようとするがあまり、油を減らしすぎると、かえってやせにくい体になってしまうこともある。管理栄養士でダイエットカウンセラーの伊達友美さんは、ダイエットには大きく2つの方法があると話す。
「体重を減らすには、摂取カロリーを減らす食事制限だけでなく、体の代謝を上げる方法があります。代謝を上げるには、運動をして筋肉量を増やすのもいいですが、筋肉をつけなければ必ずしもやせられないというわけではありません。良質な油を上手に摂れば、代謝は上がります」(伊達さん)
油(脂質)は、たんぱく質、炭水化物と並ぶ「三大栄養素」。主な働きの1つは、体のエネルギー源になることだ。慶應義塾大学医学部教授で食用油の有用性研究の第一人者である井上浩義さんが解説する。
「油の中でも、ココナッツオイルなどの『中鎖脂肪酸』は特に代謝が早い。通常、腸から吸収された油はリンパ管を通って全身に運ばれるのですが、中鎖脂肪酸はリンパ管を介さず、直接微小血管に入って全身に運ばれます。すぐにエネルギーとして使われるので、体脂肪として体に蓄積しにくいのです」
油のもう1つの重要な役割は、体の組織をつくること。脳や自律神経、細胞膜、ホルモンなどの材料になる。
「良質な油を摂ることでこれらの組織が充分に働くようになります。自律神経のバランスが整うと、便秘の解消や睡眠の質の向上、冷えやむくみの改善などによって、相対的に消費カロリーが増えるのです。
反対に、油が足りなくなると、これらの組織が充分に働かなくなる恐れがあります。実際に、アルツハイマー型認知症で亡くなった人の脳は、オメガ3系のDHAやEPAが少ないことがわかっています。また、油不足は皮脂不足による肌の乾燥を招き、ツヤやハリが失われる原因にもなります」(伊達さん)