国際情報

中国で起こった「白髪革命」 退職者らが健康保険の改悪めぐり大規模抗議活動

退職者による大規模抗議が起きている(時事通信フォト)

退職者による大規模抗議が起きている(時事通信フォト)

 中国の武漢市で2月15日、退職者による大規模な抗議デモが2月8日に続いて発生。当局の警告にもかかわらず、同日朝、漢口の中山公園に数千人の高齢者が集まり、医療給付を削減する健康保険改革措置の撤回を要求する集会が開かれた。東北部の主要都市、遼寧省大連市でも、同様の理由で数千人の退職者が同市の人民広場に集まり、抗議行動を行った。

 高齢の退職者の多くは当局の個人補助減額の方針に反対しており、武漢ではこれらの抗議行動を「白髪(しらが)革命」とも呼んでいるという。米政府系報道機関「ボイス・オフ・アメリカ(VOA)」が報じた。

 ネット上で流された動画では、両市の集会においてともに、現場とその周辺に大量の警察官が配備されている様子が確認でき、多数の人々が警察に連行されたとの情報も出ている。

 武漢では、抗議する群衆が出動した警察隊と対峙し、一時は押し合いへしあいになり、数人の高齢者が地面に倒れ込むなど、大混乱になった。また、群衆のなかには「反動政府を倒せ!」などと叫んでいる人もおり、これらの人々に警官がこん棒で殴り掛かり、警察車両に押し込んで連行していったという。

 大連でもデモ隊が「反動政府を倒せ」などとのスローガンを叫んだり、国歌を歌いながら、数十人の高齢者が警官の隊列に突っ込んでいく場面もみられたという。

 両市ともに当局が実施する健康保険改革は、重病者の医療負担を軽減するため、一般労働者や退職者の医療保険の運用を改正し、軽症者が薬を購入する際に利用する「個人補助」を大幅に削減するという内容だという。

 香港紙「明報」によると、医療保険改革は、3億5000万人に影響するとみられる。武漢市の抗議デモの後、広東省や四川省などでも改革の必要性を強調する文書が発表されている。

 高齢化社会に入りつつある中国で、こうした高齢者の不満の高まりに対して習近平指導部が今後どのような対応をとっていくのか、注目が集まっている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
NASAが発表したアルテミス計画の宇宙服のデザイン(写真=AP/AFLO)
《日本人が月に降り立つ日は間近》月面探査最前線、JAXA「SLIM」とNASA「アルテミス計画」で日本の存在感が増大 インドとの共同計画や一般企業の取り組みも
週刊ポスト
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト