旧統一教会信者である両親から止められ、教団から妨害されても屈せず、顔を出して宗教2世としての被害を訴え続けてきた小川さゆりさん。そんな彼女が自らの半生を綴った手記『小川さゆり、宗教2世』が、来月刊行される予定だ。教会や両親への赤裸々な思いを綴った覚悟の手記の内容について独占告白──。【第2回。第1回から読む】
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高校3年生の冬、当時信仰が高かった私は、祝福を受けて合同結婚式に参加したいと思っていました。誰かをこの世で一番に愛してみたい、愛されてみたいと思ったし、前々から私は教会が「神が選んだ国」とする韓国の人と結婚したいと思っていました。
この祝福結婚を目指して、2014年の冬、私は21日間の修練会(※統一教会の教義を学ぶためのイベント。上記の21日間の修練会への参加は、合同結婚式に参加するために必要だったという)の合宿に参加しました。合宿では男女は基本的に別行動でしたが、班をまとめる班長は特別でした。私は一緒に行動していた修練生の女の子と、この修練会で10歳以上年上の男性班の班長と仲良くなり、よく3人で話すようになりました。この男性班長は、司会進行補佐も務めていて真面目な人に見えました。
この修練会が終了した次の日は閉会式がありました。修練生全員で修練場の清掃をしていたときのことでした。
「ちょっと手伝ってもらおっかな」
清掃の途中に、その男性班長から声をかけられました。彼の後ろをついていくと、人気のない場所へ連れていかれました。学校の教室くらいの広さの部屋で、その部屋には倉庫のような個室があり、そこへ誘導されました。
彼はスマホを取り出して、私の横に並んで内カメラにして一緒に写真を撮りました。そのとき、彼は私の腰に手を回してきました。少し緊張していたのか、あるいは興奮していたのか、彼の手は不自然に震えていました。
それから彼は私に向かい合い、私だけの写真も撮りました。撮影後に、頭を撫でられたり、頬を両手で触られたりしました。男性班長は、終始ニヤニヤとした笑みを浮かべていました。
そこに一緒にいた時間は、2分間もなかったかと思います。班長の誘導ですぐにその部屋を出ました。
この短い出来事に、私は大きなショックを受けました。教会では男女の身体的な接触は禁止されています。それなのに、信仰上の先輩である班長がどうしてそんなことをするのだろう、と恐ろしくなったからです。
合宿の解散後、帰りの夜行バスの座席に座りSNSのアプリを開くと、先ほど写真を一緒に撮られた班長から、友達申請とメッセージが届いていました。
「○○だよ」と男性班長の名前が書かれていました。それは修練会中に送信されていたことに気づきました。