ライフ

間違いだらけの健康知識 適正な睡眠時間は人それぞれ、「7時間」にこだわる必要はない

(写真/PIXTA)

必要な睡眠時間は人それぞれ(写真/PIXTA)

 ふかふかの敷布団に糊の利いたシーツをかぶせ、掛け布団にくるまって眠る──日本人なら誰でも経験したことのある日常の一コマだが、近年「布団よりもベッドの方がハウスダストが少なく、睡眠の質が高い」という説も生まれている。雨晴クリニック院長で睡眠が専門の坪田聡さんが解説する。

「部屋がフローリングならば、確かにベッドの方が睡眠の質は高まります。フローリングに布団を敷くと、床が硬くて体に負担がかかるうえ、熱も逃げやすい。床から30cm以上の高さで寝ると、ハウスダストを避けられるのでアレルギーの人にはいいというメリットもあります。

 ただし畳の部屋ならば、布団で問題ありません。布団の方が気軽に干せるので衛生的にいいというメリットがあります。自分の部屋の間取りによって、メリットとデメリットを勘案して選ぶことを推奨します」

 ナイトキャップ(寝酒)が睡眠の質を下げることも、世界の常識だ。

「にもかかわらず日本人は海外と比べて寝酒を好む傾向にあります。実際に欧米やアジアの10か国を比較調査したところ、日本では不眠を解消するためにアルコールを摂取する割合がダントツに高く、3割を占めることが明らかになっています。

 確かにアルコールには、不安を減らして眠りに誘う働きがあります。

 しかし睡眠が浅くなるし、夜中にトイレで目が覚めるので、トータルで考えればやめるべき。次第に飲酒量が増えて依存症になる恐れもあります」(坪田さん)

 質さえ落ちなければ、どのくらいの時間眠るべきかはそれほど気にする必要はない。早稲田大学名誉教授で生物学者の池田清彦さんが言う。

「適正な睡眠時間は人によって変わります。長らく“7時間睡眠の人が長生きする”といわれてきましたが、3〜4時間でも健康を維持できるショートスリーパー体質の人もいます。逆にアインシュタインは、健康を保つために10時間の睡眠が必要だったといわれている。年をとると睡眠時間が短くなるともいわれますが、逆に長くなる人もいます。重要なのは、時間にこだわらないこと。自分に合うと思える睡眠をたっぷり取ってください」

 眠くなったら、スペインのシエスタのように昼寝を取り入れるのもいい。だが長い昼寝はNGだ。

「若い人なら20分、高齢者でも30分以内にしましょう。夜の睡眠に影響を与えないように、午後3時までには起きることも心がけてほしい。短時間で目覚めるためには、ベッドや布団で横にならないこと。椅子にもたれかかったり、机に突っ伏したりして寝て、アラームをかけておきましょう。

 寝る前にカフェインを摂ると、20〜30分で覚醒効果が出て目覚めやすくなります」(坪田さん)

※女性セブン2023年3月2・9日号

間違いだらけの健康知識【栄養・食生活編】

間違いだらけの健康知識【栄養・食生活編】

間違いだらけの健康知識【生活習慣編】

間違いだらけの健康知識【生活習慣編】

間違いだらけの健康知識【治療編】

間違いだらけの健康知識【治療編】

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン