香港ではここ数年の民主化を要求する反政府デモなどで逮捕され服役している未成年者約1000人が、刑務所内で中国の愛国主義教育を受けさせられていることが明らかになった。従わない場合は拷問も加えられているという。
米国に本部がある「香港民主評議会」は「2017年以降、新疆ウイグル自治区で収監された100万人以上のウイグル族に課せられた愛国教育プログラムおよび再教育プログラムに類似している」と指摘している。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」などが報じた。
同評議会によると、香港の民主化要求運動などで無届けのデモ行進をしたり、警官らに暴力行為を働いたりしたなどとして、2019年から2022年8月末の間に数万人が逮捕されており、そのなかの2000人以上が未成年者だった。
このうち起訴された約1000人は「極端な思想的見解」を持っていると判断されて「再教育」に回されている。彼らは香港の更生施設条例に基づき、1人1人に専任の「ケースマネージャー」が付けられ、中国の国歌斉唱や行進訓練などの中国式の軍事教練を受けることが義務付けられている。
また、個別に中国への愛国心や国家への忠誠心を植え付ける愛国教育も強要されているという。
香港民主評議会の議長を務める米国在住の活動家アレックス・チョウ氏はRFAに対して「刑務所に収監されている未成年者は『受刑者』ということで、拷問を加えられたり、さらに厳しい再教育のための洗脳活動を受けているようだ。これは新疆ウイグル自治区のウイグル族と同様、人間の尊厳を損なうもので、ただちにやめさせるべきだ」と訴えている。
新疆ウイグル自治区では約100万人ともいわれるウイグル族への「職業訓練」を口実にした事実上の「再教育による洗脳」が行われており、深刻な人権侵害の疑いがあるとされている。