ジョッキーが馬券の重要なファクターであることは論をまたない。競馬ライターの東田和美氏が考察した。
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先週2月18日(土)の阪神8レース(3歳1勝クラス)は、1番人気馬が最下位に沈み、このクラスで実績のあった2~4番人気馬も伸びず、三連複でも34万円、三連単は261万円という波乱となった。立役者は道中2番手につけ、直線で交わされそうになりながらも盛り返して3着に粘ったティルドーンで単勝127.8倍という最低人気だった。
この鞍上が武豊騎手だったことが話題になっている。この時点まで通算4405勝、騎乗回数2万3944回というレジェンドにして複勝は過去最高配当の2780円、16番人気で馬券に絡んだのもこれが初めてだった。ティルドーンがらみのワイドも3万2160円と2万2320円。武豊から買ってこれだけの配当になるのだから、競馬は分からない。
名手は「ゲートを出たので先行したけど、ラストまで渋太く頑張ってくれた」(「競馬ブック」より)とサラリとコメントを出している。たとえ近走不振で頭打ちと思われるような馬に騎乗しても、「武豊が乗るのなら」、あるいは「武豊ならなんとかするのではないか」という期待感でオッズが動くため、これだけに人気薄に騎乗することも珍しい。
武騎手が単勝100倍超の人気薄に騎乗したケースを調べてみた。実は昨年は4回、今年になってすでに2回もあるが、馬券圏内にまで持ってきたのは2014年3月1日阪神1レースの未勝利戦、15番人気151.5倍のエアジャモーサの2着以来実に9年ぶりのこと。この時の複勝は2350円、勝ち馬は2番人気だったが馬連は4万0010円、3着馬が3番人気だったが、それでも三連単は40万超となった。
実はこのデータを調べることで武豊騎手の凄さを再確認した。この9年間、武騎手は上記を含めて単勝100倍以上の馬に26回騎乗しているのだが、うち19回は着順が人気順を上回っている。それだけならともかく、一桁着順も多く11回は賞金をゲットしているのだ。その中には安田記念で14番人気6着のカデナや、エリザベス女王杯13番人気8着のアルメリアブルームも含まれている。人気薄に騎乗しても、なんとか前に持ってこようとするところが武豊の武豊たる所以なのだろう。
ちなみに勝ち馬で最も人気薄だったのは2015年6月27日阪神11レースを12番人気で勝ったプランスペスカで単勝は4210円で、いまだに単勝万馬券というのはない。調教師としては依頼しにくいだろうがぜひ見てみたい。どんなコメントを出してくれるのかも楽しみだ。