落語家でタレントの笑福亭笑瓶さんが2月22日、急性大動脈解離のため死去した。66歳だった。べっこう色のメガネをトレードマークにバラエティ番組などで活躍した笑瓶さんだったが、本誌・週刊ポストとも縁が深かった。1997年、競馬予想を行なう名物企画「競馬勝ち抜き戦」に参戦し、第4代グランドチャンピオンに輝いた笑瓶さん。そのご褒美で本場のザ・ダービー観戦のためイギリスに飛ぶ特別企画もあった。
1997年7月4日号の本誌記事によると、シルクハットとグレーモーニングに例のメガネというというド派手な出で立ちは現地・エプソム競馬場で注目を集め、地元マスコミからの取材攻勢にあったという。「知らない馬ばっかり。全然わからへんワ」と言いながら買った馬券がまさかの的中。「やったァ、買うてる、この馬券買うてる。やったぞォ、イギリスダービー制覇や!」と興奮した様子を伝えている。
4泊6日の旅程をともに過ごした当時の担当編集者は言う。
「笑瓶さんはこの企画に参加するまで、競馬には疎かったようなんですが、独特の勝負勘で次々的中しチャンピオンに。イギリスでも、全く事情を分からず予想した馬券が当たったので驚きました。
当時、テレビに出ずっぱりだった笑瓶さんのスケジュールを押さえるのは大変でしたが、ゴルフ好きの笑瓶さんは『(名門コースの)セント・アンドルーズに寄れるならぜひ行きたい』とマネージャーも帯同せずに参加してくれました。
フレンドリーな笑瓶さんは、朝から『おはようさん』とギャグのようなノリで登場し、夜中までテンション高く、ホテルに帰っても『部屋においでよ』と酒を飲み直す毎日でした。目立つので日本人観光客にも声をかけられましたが、そのたびにポーズを取ったり、『(「魔法使いサリー」の)よし子ちゃん』のモノマネをしたりする姿を目の当たりにして、そのサービス精神に感動しました」
ご冥福をお祈りします。
※週刊ポスト2023年3月10・17日号