『スシロー』のCM、『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)のナレーターなどでおなじみの“国民的ボイス”の立木文彦(61才)は現在、声優として「第三黄金期」にいると語る。
「一期はデビュー間もない頃、シリアスな『聖戦士ダンバイン』(ゼット・ライト)、コメディーの『うる星やつら』(面堂家黒メガネ軍団員)という、方向性の違うアニメのレギュラーをいただき、いまや声優界のレジェンドとなった先輩がたから技術を学びました。二期はターニングポイントでもある『新世紀エヴァンゲリオン』です。そして、ナレーターとしても幅広く知っていただいているいまが三期。
昔はいまとまったく違って、声優は“裏方”だったんです。『銀魂』のdTVドラマ版では、柳楽優弥さんが“本物だ! 一緒に写真を撮ってもらえませんか?”と言ってくださって……いや逆だろう、と(笑い)。仕事の幅が広がるのは、感慨深くも、ありがたい。貴重な体験をさせていただきました」
アニメファンなら、立木文彦といえば『エヴァ』のゲンドウ役だ。
「『エヴァ』は、自分の役だけでなく、ほかのキャラクターとの関係性や物語全体を俯瞰して考え、深掘りせざるを得ない作品でした。有名な『帰れ』というせりふは、たった3文字ですが、何度も録り直したんですよ」
立木のいまの夢は、47都道府県を巡って「生の声」を届けること。全国に温かい声を届けてほしい。
──声優を志したきっかけは?
「親戚のおばさんに『ふみ坊、声よかねえ!』と言われて、おれっていい声なんだ、と素直に思って(笑い)。高校卒業後に上京して、声優科がある専門学校に入学しました」
──最近、感動したことは?
「朝ドラの『舞いあがれ!』(NHK)など、話題のドラマは見るようにしています。すぐ感動しちゃうんですが、最近泣いたのは『silent』(フジテレビ系)。川口春奈さんの自然な演技は勉強になるし、毎回泣かされました。ちなみに、彼女は同郷なんですよ」
──「癒しスポット」はどこですか?
「昔から釣りが趣味なんです。最近は釣り以外でも、海や川に行って癒されています。自分の原点は、やっぱり生まれ育った五島列島なんですね。水の流れを見ていると、悩みが浄化される気がして、落ち着くんです」
【プロフィール】
立木文彦/1961年4月29日生まれ。長崎県出身。1982年に声優デビュー。『新世紀エヴァンゲリオン』(碇ゲンドウ)のほか、『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)、『PRIDE』ナレーションなど。『銀魂』(長谷川泰三)は、dTVドラマ版でも同役で出演し話題に。
撮影/岡本俊 取材・文/小山内麗香
※女性セブン2023年3月2・9日号