米国の11の州において、安全保障上のリスクを理由に、中国企業の土地購入や中国と関係のあるプロジェクトを禁止する動きがあることが明らかになった。ドナルド・トランプ前大統領は次期大統領選で当選した場合、中国の米国農地への投資を禁止する法案を通す意向を示しているが、民主、共和党に関係なく、対中強硬方針は一致しているのが現実だ。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
バージニア州のグレン・ヤングキン知事はフォードモーターズが進める総工費35億ドル(4725億円)のバッテリー工場建設と2500人の新規雇用のプロジェクトを却下した。フォードモーターズがこのプロジェクトで中国企業と提携しているためだ。
ヤングキン知事は、これについて、フォードのパートナーである福建省の現代アンペックス技術(CATL)は、中国共産党の「隠れ蓑」であり、世界支配という一つの目標しか持たない独裁的政党だと説明している。
また、同州議会は2月、中国を念頭に置いた「敵対国」への農地の売却を禁じる法案を可決した。敵対国の対象は中国のほか、キューバやロシア、イラン、北朝鮮などとなっている。
バージニア州以外にも、テキサス州でも中国を念頭に不動産取得を幅広く制限する法案が検討されている。グレッグ・アボット知事もこの法案を後押ししており、議会で可決すれば、署名すると語っている。
また、ノースダコタ州では中国企業が空軍基地近くに製粉工場を建設する計画があるが、米空軍が強い懸念を示しており、州議会が介入する動きを見せている。隣接するサウスダコタ州でも、州議会が中国など外国資本による農地取得を厳しく審査する委員会を立ち上げる法案を準備している。
さらに、連邦議会でも米下院議長のケビン・マッカーシー氏(共和党)が中国共産党の影響力をチェックする目的で新設する委員会で農業問題を優先させると言明している。
日本でも中国企業や中国人による日本の不動産買収が話題になっているが、アメリカでの規制は米中対立を反映して厳しいものとなっているようだ。