フリマアプリ大手のメルカリでいま、安倍晋三元首相の「写真セット」が大量に出品されている。メルカリで〈安倍晋三 写真セット〉と検索すると、「15枚セット・3万3333円」、「60枚セット・2万円」などの商品がズラリと並ぶ。どれも高額だが「SOLD(売却済)」の文字も目立つ。
しかし商品の写真を見ると、安倍氏が選挙勝利後に笑顔でインタビューを受けていたり、トランプ前大統領と握手していたりと、新聞社などのメディアが撮影してネットに配信したものばかり。ネット転売に詳しいIT関係者が明かす。
「安倍さんの画像はネット上でいくらでも転がっている。出品者はその画像をスマホに保存し、コンビニのコピー機で写真プリントして紙焼き写真を大量生産しているんです。そんなものでも写真セットとして出品すれば、一部の自民党支持者が購入してくれます」
コンビニのコピー機での写真プリントは1枚30~40円。「15枚セット・3万3333円」の例で考えると、元手をはるかに超える利益を得られることになる。
こうした行為に法的な問題はないのか。レイ法律事務所の舟橋和宏弁護士が解説する。
「出品された安倍元首相の写真が政府や新聞社の撮影したものだとすれば『著作権侵害』にあたる可能性がある。無断に大量の複製を作りネット上で販売する行為は著作権法上の『複製権』や『公衆送信権』の侵害に該当すると思われます。著作権侵害の刑事罰は『10年以下の懲役』または『1000万円以下の罰金』で、悪質な場合は両方が科されるケースもある」
メルカリにも聞くと、「知的財産権の侵害について権利者から申し立てがあった場合は、都度確認の上、適切に対応させていただきます」(PR担当)との回答だった。出品者やプラットフォーム側にはモラルが求められる。
※週刊ポスト2023年3月10・17日号