寺脇康文演じる亀山薫の復帰で注目を集めている『相棒Season21』。クライマックスを迎える前に改めて、「亀山薫のいる『相棒』」についてコラムニストのペリー荻野さんが綴る。
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亀山薫(寺脇康文)14年ぶりに復帰で、なんだかおなじみ感いっぱいだわ~と思いつつ見ていた『相棒Season21』もお大詰め。放送400回を突破した今シーズン、改めて亀山薫という刑事の「特技」がよくわかった。
それは、「適度に察しが悪い」ということである。22日に放送された「悪役」の回では、殺人事件の現場で、キャビネットが倒れ、たくさんのDVDが散乱する中、右京は一枚のDVDが「おかしい」と気づく。亀山は「なんか、おかしいですか」ときょとんとしていたが、右京から、一枚だけがキャビネットの下にあり、倒れる前からそこにあったのだと説明されると、「おみそれしました!」と感服する。右京の説明を引き出すのは、亀山の大事な役割だ。
名探偵の映画やドラマに察しの悪い「相棒」は、欠かせない存在である。ワトソンは、時に変装して敵も味方も煙に巻くシャーロック・ホームズに翻弄されるし、アーサー・ヘイスティングスは“灰色の脳細胞”で名推理を繰り広げるエルキュール・ポアロに「君は何も見えてませんね」と呆れられる。
金田一耕助の傍らには「よし、わかった!」と迷推理で事態をますます混乱させる等々力警部(署長)はじめ、日和警部、磯川警部らがいたし、『警部補 古畑任三郎』のおっちょこちょいの今泉慎太郎(西村まさ彦)は、おでこをペチペチとされていた。
察しの悪い相棒が的外れな推理をし、探偵がそれを否定することで、視聴者は事件のおさらいをし、解決の方向性を知ることができる。また、探偵が相棒にカギになるアイテムや出来事の説明をすると、視聴者にもその分野の知識が届く。