統一地方選前半戦の投開票日となる4月9日まで1か月を切り、大阪では府知事選、市長選の「ダブル選」の注目が高まっている。地域政党「大阪維新の会」と、維新に対抗する勢力が正面からぶつかり合う構図となる。とりわけ、地元で圧倒的な支持を誇る維新代表で現・大阪府知事の吉村洋文氏に挑む対抗陣営は、支持を広げるべく懸命になっている様相だ。
今回のダブル選で、維新に対抗する勢力の結集を目指すのが、在阪の経済人らが立ち上げた政治団体「アップデートおおさか」だ。3月23日告示の知事選には法学者で大阪芸術大学客員准教授の谷口真由美氏を擁立。知事選には他に共産党の元参院議員・辰巳孝太郎氏も無所属で出馬を表明している。一方、同26日告示の市長選では、政界を引退する松井一郎市長の後継候補として維新が大阪府議の横山英幸氏を立てたのに対し、アップデートおおさかは自民党市議の北野妙子氏を擁立した。
維新vs非維新の構図とも言えそうだが、現職知事の吉村氏は高い支持を誇ってきただけに、対抗陣営も支持拡大に腐心することになりそうだ。アップデートおおさかが推す谷口氏は、大学で国際人権法などについて教鞭を執る傍ら、『サンデーモーニング』(TBS系)などでコメンテーターとして活動。日本ラグビーフットボール協会の理事などを歴任し、2021年には東京五輪組織委会長だった森喜朗氏の「女性がたくさん入っている会議は時間がかかる」という発言を問題視して「わきまえない女」として耳目を集めたこともある。
とはいえ、2015年から大阪市長、2019年から大阪府知事を務めた吉村氏に比べれば、知名度も支持の広がりも追いかける展開となる。谷口氏の陣営関係者は「まずは大阪の有権者に馴染みを持ってもらわないと。大阪人と親和性の高い“ヒョウ柄”がトレードマークだから、それをきっかけに有権者の認知度が高まっていけば……」と口にする。谷口氏はテレビ出演時にヒョウ柄の衣装で登場することが少なくない。2月8日の出馬会見でも、自らトレードマークと語るヒョウ柄のスカーフを巻いて登場。“大阪のおばちゃん”らしさを前面に押し出している。谷口氏本人に、どこまでヒョウ柄をアピールするつもりがあるのか、直球質問をぶつけたところ、次のように答えた。
「今ほど“大阪のおばちゃん=ヒョウ柄”というイメージが定着する前から着ているんですよ。米国のテキサスで友人がヒョウ柄をまとって闊歩している姿を見てかっこいいなと思って、それからよく身に着けるようになりました。今は過去に例のないピンク・ブルー・黄色の“3色のヒョウ柄タスキ”で大阪の街を駆け回っています。“あ、ヒョウ柄のおばちゃんや”と覚えてもらえたらと思っています。
(吉村知事に挑むのは)ロックスターに対して、デビュー前の演歌歌手が挑むようなもの。ただ、維新さんは『挑戦を続ける』と言いはりますけど、橋下徹さん(元大阪市長)からもうすでに維新行政が10年続いている。いつまで挑戦する側なん? それで大阪って良くなったん? といったことを府民一人ひとりに考えてもらえたらと思ってます」