今年も女子プロゴルフ国内ツアーが開幕した。沖縄・琉球ゴルフ倶楽部で3月2日から4日間開催された開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」を制したのは元世界ランク1位のベテラン・申ジエ(34)だった。近年は怪我に悩まされたこともあり、日本ツアーでは1年8か月ぶりの優勝となった。これで通算27勝目となり、「永久シード」資格が得られる30勝が目前となった。この大会で申ジエと優勝を争って2位に入ったのが、36歳の上田桃子。さらに4位タイには37歳の藤田さいきがランクインするなど、ベテラン勢の活躍が目立つ開幕戦となった。
ここ数年、渋野日向子(24)や原英莉花(24)など黄金世代と呼ばれる選手たちが台頭して以降、女子ゴルフ界は毎年のようにニューヒロインが登場してきた。昨年、年間女王に輝いたのも2000年生まれの「ミレニアム世代」でまだ21歳の山下美夢有だった。その一方で今年のシード権を獲得した昨年のメルセデスランク50位以内には30歳以上の選手が14人もランクイン。
俗に言われる“30歳限界説”などどこ吹く風の活躍ぶり、その要因はどこにあるのか。ツアー41勝でこれまで6人しかいない永久シードの森口祐子プロは「30代で活躍できることがゴルフというスポーツの面白さ」と言う。森口プロは開幕戦でのベテラン勢の戦いをこう解説する。
「開幕戦はフェアウェーがかなり絞り込んでありました。これだと飛距離だけでは通用しない。若くて勢いがあるだけでは沖縄特有の難しい高麗芝に対応できず、戦いきれなかった選手もいたのではないでしょうか。申プロには永久シードという目の前の目標があった。通過点でしょうが、クリアしたい目標は大事です。このオフで体力をもう1段階上げたように見えましたし、集中できていた。難しい芝に対応できた点や後半の勝負どころでの試合運びなどはさすがベテランです。
申プロはゴルフに対する意識のレベルが高く、そのモチベーションを長く維持できているのがスゴい。2位に入った上田桃子プロは年々精度が上がってきているように感じます。デビューした時よりショット力、スイング力ともに上がっており、ゴルフをやる人にとってお手本のような美しいスイングを確立している。何よりゴルフが上手くなりたいという向上心が若手に負けていないかなと思います」