芸能

役者・原田大二郎(78)の現在地 北野武と意気投合した瞬間、バラエティ進出後の複雑な思い

本格的な役者生活が始まったんです。役者人生ってのは、毎日起きて寝るまで、役者から離れない。考えることは、芝居のことばかり

本格的な役者生活が始まったんです。役者人生ってのは、毎日起きて寝るまで、役者から離れない。考えることは、芝居のことばかり (撮影/大山克明) 

 文学座出身で、ドラマ『Gメン’75』(TBS系)、映画『蒲田行進曲』(深作欣二監督)などで活躍してきた俳優・原田大二郎さん。78歳にして現役で舞台に立ち続け、多くの演劇ファンを魅了している。3月16日からは、原田さんが演出・出演する舞台『ちっちゃな星の王子さま』も始まる。その稽古現場には、舞台作品を演出することが嬉しくてたまらないといった表情の原田さんがいた。そんな彼の、役者としての原点、そして現在地とは──。【前後編の後編。前編から読む

 オーディションを経て演じることの快感に目覚めた原田さんは、大学卒業後は本格的に役者の道を歩むため、『文学座』の門を叩く。1937年に旗揚げした劇団『文学座』は日本演劇界の老舗中の老舗で、入団時の競争率も高い。

「当時はほんとにすごくてね、800人くらいが受けて、合格したのはたった45人だった。試験は、都内の大学の8教室を借りて筆記試験。1つの教室に100人ずつ入っていて、それぞれの教室をざっと見て回ると、役者としては俺よりもよさそうだなって奴がどの教室にも5~6人はいるわけです。“え~、すれすれじゃん。これは、ダメだぞ”と思った。そういうのは見ただけでなんとなくわかるんだよね。全体で48人くらい、自分よりできそうな役者のタマゴがそれだけいるんだよ。だから運良く合格通知貰った時は嬉しかったですよ。

 そこから本格的な役者生活が始まったんです。役者人生ってのは、毎日起きて寝るまで、役者から離れない。考えることは、芝居のことばかり。そして、マージャンを少し……(笑)」

 舞台俳優として修行を続ける一方で、1970年公開の『エロス+虐殺』(吉田喜重監督)でスクリーンデビューを飾る。その後6か月にわたって撮影した『裸の十九才』(新藤兼人監督)は、「役者・原田大二郎」を一人前の人気俳優にしたのだった。

「映画『エロス+虐殺』でオーディションを受けて、吉田喜重さんに使ってもらった。次に『橋のない川』という映画を雪の長岡で撮っているときに、文学座から呼び戻されて、『原田くん、新藤兼人監督が君に会いたいって言ってるから面接受けてください』ということになり、赤坂の新藤さんの会社でお会いしたんです。

 でも実は、写真選考の段階で僕は一旦落とされていたらしいんですよね。そのころ自主製作系の映画は、あらゆる劇団から俳優の卵たちの写真を取り寄せて、主役を選考することが多かった。出演料が安く上がるからね。その選考の段階で僕は一度、落ちてるの(笑)。後から聞いた話だけど、当初の選考過程で、最後の8人に西田敏行さんが残っていたらしいんですよ。あの人は東北出身なんですね。『裸の十九才』の主人公も東北です。だから敏さんは絶対にこの役やりたいって思っていた。これも後で敏さんに直接聞いたんだけど、“原田大二郎ってどんなやつだろうってずっと思ってたんだ”って(笑)」

関連キーワード

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン