そのあまりの熱さは赤を通り越し、青く光り輝く星となる。そんな青色に輝く巨星を「BLUE GIANT」と呼ぶ──。シリーズ累計が1000万部を超える大人気ジャズ漫画『BLUE GIANT』が、アニメーション映画化され、大きな反響を呼んでいる。公開から約1か月、口コミでは「奥歯を噛んで涙をこらえながら見た」「涙腺崩壊」「冒頭から泣いた」などその感動が伝わり、満席のシアターも続出。各シアターで音響にこだわった重低音体感上映や轟音上映などが設定され、リピーターも多い。「この値段で本格的JAZZ LIVE体験ができるなんて」と音楽ファンも多く足を運んでいるという。
“音が聞こえてくる漫画”として高い評価を集める同作品の映画化は困難の道のりであったというが、こだわり抜いた音楽は、BGMひとつ機械音を使用せず、劇中の音楽を担当している世界的ピアニストの上原ひろみの演奏も圧巻だ。
大ヒット上映記念に、本誌・女性セブンは原作の石塚真一氏と、映画脚本を担当したNUMBER8(小説執筆時・南波永人)氏に、作品に込めた思いと見所を聞いた。
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石塚:“泣いた”という言葉は率直にうれしいです。最上級のほめ言葉のひとつじゃないかな。
ジャズを聴いていると、涙が出ることがあるんですが、明確に理由はわからない。今回の映画もそうみたいなんです。大たちの一生懸命さとか真摯な姿とか、言葉では言い表せない何かを音楽から受け取って、自分の体験を通じてなぜか涙が出る。その感想はうれしかったですね。
南波:初めて出来上がった映画を見たときは、音を聴いた瞬間に、ふいに涙してしまうという……ちょっと不思議な体験でした。3回見たんですけど、3回とも泣いてしまった。ストーリーは知っているのに、なんなんでしょうね。
〈“音が聞こえてくる漫画”を実際に音楽を鳴らす映画として実現する難しさはあったはず。圧巻の音楽、上原ひろみとのタッグはどのようにして生まれたのか〉
石塚:上原さんに音楽をお願いすることはずっと前から決まっていました。上原さんは一生懸命で死んじゃうんじゃないかってくらい出し切るスタイルで、主人公……大とプレースタイルが近いんです。性格も主人公とリンクしている部分もあり、実際漫画で描く際からアドバイスももらっていました。
今回の音楽もライブは圧巻なんですが上原さんは本当に細かい所までこだわってくれた。信号の点滅に合わせたり、玉田くんの歩調に合わせたりと、シーンごとに音楽のテンポも変えられていて。そうした細かいこだわりが映画から伝わってきて、感動しました。
南波:今回、ピアニストが右手を使えずに左手だけで演奏する場面があるんです。ものすごく鬼気迫る演奏で息をのむほどなんですが、実は(上原)ひろみさんが、実際に左手だけで演奏してくれたんですよ。本当に壮絶な録音現場でした。かっこいいを通り越して、人間業とは思えない演奏でした。