高血圧と診断されて、処方された薬を飲み続けないといけない……そんな生活のなかでは、可能であれば正常な値に「下げたい」と思うのが自然だろう。降圧剤の服用や減塩などの食事制限をせずに「血圧を50下げる」メソッドを提唱しているのは、薬剤師の加藤雅俊氏だ。
加藤氏は、ベストセラー『薬に頼らず血圧を下げる方法』(アチーブメント出版)の著者で、多方面から病気にアプローチする「ホリスティック医学」の第一人者。人間が本来持つ「自然治癒力」を働かせて健康を保つ方法を研究している。そもそも血圧が上がる理由について、加藤氏はこう説明する。
「歳を重ねたとしても、酸素や栄養素は若い頃と同じように脳や全身に送られなければいけません。加齢によって心肺機能が衰えたり血管や筋肉が硬くなれば、その分、心臓は血流に勢いをつけるために心拍数を上げる必要があります。血圧が上がるのはそのためです。
ですから医師に処方された降圧剤を飲んで数値だけ下げたとしても、身体の機能低下という点は何も解決できていないわけです。また、医師は『減塩』指導をすることが多いですが、大規模調査では日本と比べて食塩摂取量の少ない欧米のほうが高血圧の有病率が高いことがわかっています」(以下「 」内のコメントは注記がない限り加藤氏)
加藤氏の問題意識は、医学界における高血圧治療のあり方にも向かう。
「薬に頼って数値を下げる治療法は、大量処方・副作用などの問題につながります。近年は高血圧の診断基準の数値を厳格化することで、それまでは降圧剤を服用する必要がなかった人まで“患者”にしてきた側面もある。
私は血圧の基準値は、かつて日本でも採用されてきた上(収縮期血圧)が『年齢+90』でいいと考えています。70歳なら160、80歳なら170で大丈夫です」
とはいえ、その数値を超えてしまった場合は注意が必要だ。
「本来の正常値である『年齢+90』という数値を超えた場合、血圧の数値が身体に起きている何らかの異変のサインであると受け止めることができます。息苦しさや動悸など、気になる症状があれば医療機関に行きましょう。もし症状はないなかで血圧を下げたい場合は『加藤式降圧法』を推奨しています」