血圧を気にし始めると、“何か特別なことをしなければ”という考えに傾きがちだ。だが、日常生活には「血圧が上がりやすい習慣」が多く潜んでいる。何気ない行動が招く高血圧リスクとは──。
ビールは「ジョッキ」よりも「瓶ビール」
これから春本番を迎えれば一気に気温が上昇し、ビールの美味しい季節がやってくる。
運動や作業で汗をかいた後、冷えたビールを飲み干すのは格別だが、実はここにも血圧上昇のリスクが潜んでいる。高血圧専門医で、近著に『血圧が下がる人は「これ」だけやっている』(アスコム)がある日本歯科大学附属病院(内科)臨床教授・渡辺尚彦医師が指摘する。
「ジョッキのビールを一気に流し込むのが美味しいのはわかりますが、これは心臓に冷えたビールをかけているようなもの。食道は心臓のすぐそばを通っており、冷たい飲み物を一気に流し込むと深部体温が急に下がり、心血管が収縮して血圧の上昇を招きます。
また、飲み口が大きいジョッキではどうしても一口あたりを多量に飲んでしまいがち。瓶ビールをグラスに注ぎながら、ちびちびと飲むスタイルのほうが血圧は上がりにくいと思われます」
朝飲むなら「緑茶」か「野菜ジュース」か
朝起きて喉の渇きを潤す飲み物も、血圧に影響を及ぼす。目覚めの直後や朝食の際に飲むなら、どんな飲み物が血圧低下に有効なのか。石原結實医師(イシハラクリニック院長)が言う。
「緑茶はポリフェノールの一種であるカテキンが豊富に含まれるため、血管が拡張して血圧を低下させる効果が期待できます。朝飲むことで緑茶以上に血圧低下を期待できる飲み物といえば、食物繊維やカリウムが豊富に含まれる野菜ジュースです。カリウムには血圧を上昇させるナトリウムを体外へ排出する働きがあり、食物繊維にも塩分吸収を妨げて血圧を下げる効果が期待できます」