「絵から音が聞こえてくる」と大人気のジャズ漫画『BLUE GIANT』が映画化され、公開から大ヒットを記録中だ。オリジナル楽曲製作や演奏を世界的ピアニスト・上原ひろみが担当するなど、音楽通の大人も唸るクオリティが評判となっている。本作の音楽的魅力を徹底して掘り下げていこう。
ジャズファンを唸らせる細部の“リアリティ”
劇場で号泣する人が続出、と話題の映画『BLUE GIANT』。原作はシリーズ累計1000万部超えの人気コミックスだ。
主人公は、世界一のジャズプレーヤーを夢見る宮本大。大を中心に、ピアニストの沢辺雪祈、大と同級生のドラマー・玉田俊二の苦悩と成長が描かれる。
「画面からほとばしる熱気に、たちまち引き込まれました。観終わった後、思わず立ち上がって拍手したい気分にさせられました」
雑誌『ジャズ批評』の元編集長で、音楽評論家の原田和典氏はこう絶賛する。原田氏によれば、細部にいたるまでの“リアリティ”に驚かされたという。
「楽器から、演奏するプレーヤーの手元の動きまで、どれも本格的です。ライブを見慣れている方ほど驚くと思います。映画を観た数万人のうち、気づくのは相当なオタクかも、というレベルのことまで、しっかり描き込まれています」(同氏)
劇中の演奏は、ピアニストの上原ひろみら世界的プレーヤーが手掛けるほか、演奏者の動きを一部、モーションキャプチャーで撮影したのも話題となっている。若きトリオが日本のジャズシーンを変えようともがく物語にも目頭が熱くなる。
音楽って良い、映画って良いと思える爽快な一作だ。