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美智子さまが極秘弔問、『ぐりとぐら』編集者とのお別れ 遺族が明かした深い交流

読み聞かせの重要性を理解されてきた(2019年9月、東京・文京区。時事通信フォト)

読み聞かせの重要性を理解されてきた(2019年9月、東京・文京区。時事通信フォト)

 長らくおこもり生活を続けられてきた美智子さまが、お忍びで足を運ばれたのは、絵本界をリードしてきた編集者のお別れの会だった。かねて児童文学の世界に造詣が深かった美智子さまと彼の、知られざる絆。

 30分にわたる極秘弔問だった。グレーのお召し物で会場を訪れた上皇后美智子さまは、白いカーネーションを祭壇に静かに手向けられ、最後のお別れを惜しまれたという。

 出版社「福音館書店」相談役で、多くのロングセラー絵本を世に送り出してきた松居直さん(享年96)のお別れの会が、如水会館(東京・千代田区)で2月22日、しめやかに執り行われた。招待制で、出版関係者や絵本作家ら、生前に交流のあった約230人が参加したという。松居さんの次男・和さん(68才)が振り返る。

「美智子さまは、お別れの会が始まる1時間前に到着されました。献花をいただいた後、会場で父の仕事のお話をさせていただきました。美智子さまは“いろいろ教えていただきました”と言ってくださって。父の葬式で涙は出なかったのですが、このときは涙がこぼれました。最後に美智子さまが来てくださって、父はいい仕事をしたのだな、いい人生だったのだなと……」

 しかし、美智子さまの弔問はこれまで伏せられてきた。その理由の1つは、近頃の美智子さまのご体調が万全とは言い切れないことだろう。午後になると出る微熱や指のこわばりといった症状のほかに、耳の不調もあるという。

「美智子さまは補聴器をつけていらっしゃいますが、前にもまして聞こえづらい状況のようです。上皇さまとのコミュニケーションも以前のようにとはいかないようで、お困りの様子だといいます」(宮内庁関係者)

 不調に加え、コロナ禍で外出の機会も激減されていた美智子さま。それでも駆けつけられた背景には、「絵本」を通じた松居さんとの深い交流があった。

 児童文学に造詣が深い美智子さまは、自ら絵本の出版に携わられてきた。皇后時代の1991年に出版された絵本『はじめてのやまのぼり』(至光社)は、幼き日の黒田清子さん(紀宮さま)との登山の思い出をもとに制作され、5か国語に翻訳されるロングセラー作品だ。

「童謡『ぞうさん』で知られる詩人・まどみちお氏が、1992年、児童文学のノーベル賞ともいわれる『国際アンデルセン賞』に推薦された際、美智子さまは彼の詩を英訳された。その作品は、機微を完璧に捉えられていると絶賛されました」(前出・宮内庁関係者)

 1998年には、国際児童図書評議会ニューデリー大会(インド)で「児童文学と平和」をテーマにビデオで基調講演をされたこともある。その際、美智子さまは子供時代の読書について、次のように語られた。

「あるときには私に根っこを与え、あるときには翼をくれました。(中略)読書は私に、悲しみや喜びにつき、思い巡らす機会を与えてくれました。本の中には、さまざまな悲しみが描かれており、私が、自分以外の人がどれほどに深くものを感じ、どれだけ多く傷ついているかを気づかされたのは、本を読むことによってでした」

 和さんは、美智子さまのこのスピーチに深く感銘を受けたという。

「本当に素晴らしいスピーチでした。美智子さまと父は当時から交流を持たせていただいておりましたが、“美智子さまは児童文学の真髄を理解していらっしゃる”と強く思いました」(和さん)

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