北朝鮮国営の高麗旅行社は3月初旬、金日成主席の誕生日である4月15日(太陽節)に開催予定だった「万景台賞国際マラソン(通称「平壌マラソン」)を中止すると発表した。これで同大会は2020年から4年間連続で中止となる。
中止の理由について同旅行社は、新型コロナウイルスの感染防止による国境管理の調整のためとしているが、実際は北朝鮮による頻繁なミサイル発射や大規模な米韓合同軍事演習などによって、北朝鮮情勢が不安定化しているためだとみられている。米政府系報道機関「ボイス・オフ・アメリカ(VOA)」が報じた。
同旅行社が中国の旅行者などに送った電子メールでは、新型コロナウイルスの脅威はまだ収まっておらず、海外からのランナーを受け入れられる状況ではないために、平壌マラソンを中止とせざるを得ないと説明している。
一方で、この電子メールには、「この大会の正式名称は『万景台賞国際マラソン』だが、次回からは名称が変更され、『平壌国際マラソン』となることを公式に発表することを嬉しく思います」と書かれてあった。
そのうえで、北朝鮮観光旅行の再開についても触れ、「来年の大会が開催される可能性は大いにある」としており、来年には外国人の入国規制は撤廃されるとの見通しを明らかにした。
これに先立って、北京の旅行代理店は今年10月、金正恩朝鮮労働党総書記肝いりの新たなリゾート地である東海岸の元山・カルマリゾートで国際マラソンが開催される可能性があるとの情報を発表。早ければ今年秋にも北朝鮮の観光事業再開もあり得るという。
しかし、韓国の政府関係者からは、昨年から今年にかけての北朝鮮の弾道ミサイル発射実験などで、朝鮮半島の軍事的緊張が高まっており、北朝鮮が観光事業を再開しても、外国人が北朝鮮を訪れるのは極めて危険だとの指摘が出ている。