「Attack All Around」=「すべてのことに挑戦する」の頭文字を冠した男女混合パフォーマンスグループ「AAA」のメンバー・宇野実彩子が今年ソロ活動5周年を迎える。宇野は2018年2月14日、1stシングル「どうして恋してこんな」でソロデビュー。2021年に母体となる「AAA」は活動休止したが、ソロ活動を精力的に行い、2022年にAAAのすべてに感謝を伝えるというコンセプトで『All AppreciAte project』を始動。全国ライブツアーを実施した。「より成長をしていきたい」と想いを語る宇野。そのバイタリティの背景にあるものは? また一人のアーティストとして浴びせられた心無い言葉から浮かび上がる、彼女のミュージシャンとしての矜持とは。(取材・文/衣輪晋一)
活動休止後に襲われた虚無感
「コロナ禍によって延期を重ねたAAAのツアー『thanx AAA lot』。私たち初の6大ドームツアーということと、コロナ禍に見舞われながらも完走を成し遂げたことで、12月25日に幕を下ろしたのですが、その時、例えるなら、大恋愛の後の“失恋”に近いような虚無感を感じたんです」
計り知れない寂しさと同時に訪れる安堵感。とても切なかった。だが後悔もなかった。不思議な感覚だった。「客観的に考えたら、最善を経ての今だな」とポジティブに考えるも、頭と心が追いつかなかった。宇野の心に空いた穴は、しばらく消えなかったという。
「それ以前からソロ活動は行っていたのですが、2022年はAAAで活動をした時間を背負いながら、その余韻の中、心の穴を埋めていくような形で、『All AppreciAte project』の活動をしていた感覚がありましたね。ですがそれも終わり、いよいよしっかり自分の心の幕引きもしなければいけないという……。
昨年1年、ゆっくり時間をかけて句読点を踏んだ、そのタイミングが2月14日から始まる5周年。自分の気持ちに整理をつけて落ち着いたところでこの節目、新たなステージに迎えることに偶然のような必然を感じました」
それほどAAAは宇野にとって大きな存在であり支えであった。しかし、いざ1人になったことで、「現実」がまざまざと彼女の心に浮かび上がる。ここにきて以前よりも1対1の“糸”がより強く見えてきた。そこで考えぬいたコンセプトが1人ひとりへ感謝を伝える『uno-to-one』だ。
「1人ひとりのファンの顔が浮かぶような、そういう活動をしていきたいと考えるように至ったのです」