旧統一教会が日本で社会問題になるなか、お隣・韓国でも宗教を巡る事件が起きていた。かつて、おぞましい性犯罪で刑に服したカルト教団の教祖が、再び鬼畜の所業を繰り広げていたのだ。【前後編の前編】(*本文内に一部性的な表現を含みますので、ご注意ください)
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「あの人の行為はあまりに変態的でした」
「私は犯される間、“神様”と呼び続けて……」
カメラの前で、嗚咽しながら声を振り絞る女性。
3月3日にNetflixで配信がスタートしたドキュメンタリー番組『全ては神のために:裏切られた信仰』の一コマである。彼女の言う「あの人」とは、韓国の宗教団体「摂理」(キリスト教福音宣教会)の教祖、鄭明析(77)を指す。長年に渡って摂理を取材してきたジャーナリストの李策氏が語る。
「もともとキリスト教の信者だった鄭が1980年頃にソウルで立ち上げた教団です。一時は国内で15万人の信者を集めましたが、1999年に鄭の女性信者への性犯罪が相次いで報じられ、社会問題に。
鄭は自身を神であるとして、教祖と交われば救われるという愛人教育を徹底しました。イブがアダムと結ばれる前にサタンと交わったことで人間は堕落の原罪を負ったが、神である自分と交わればその罪が浄化されるというのが鄭の理論。このため摂理は“セックス教団”とも呼ばれ、レイプ被害者は数千人以上とも言われています」
韓国メディアによって性犯罪が露呈すると、鄭は国外逃亡を図り、中国や香港など海外を転々とするが、2007年に北京市内で逮捕。2009年に懲役10年の実刑判決が確定して服役し、2018年に出所した。
『全ては神のために』は韓国のカルト教団を題材にしたドキュメンタリーで、全8回のうち3回を鄭の性犯罪にフォーカス。鄭が好みの女性信者を選別し、“神による救い”と称して毒牙にかける過程を、複数の元信者が証言する。
過激な内容ゆえR18指定となった同作だが、なぜいま摂理のドキュメンタリーが配信されたのか。背景には鄭の「再犯」があったと李氏は言う。
「教団は一連の性犯罪を“女性信者の妄言”として認めず、服役中も解散することなく活動を続けました。鄭は2018年の出所後、再び教祖として活動を始めますが、そこでまたも女性信者への性犯罪を繰り返したのです。2018年から2021年までに、17回にわたってわいせつ行為をしたとされている。昨年10月に準強姦罪で逮捕・起訴され、現在裁判が進行中です」