芸能

高田文夫氏、WBC観戦で思い浮かべた「芸能と文化の二刀流」爆笑問題・太田光の才能

オオタニと爆笑問題のオオタ(イラスト/佐野文二郎)

  1. オオタ、オオタニ(イラスト/佐野文二郎)

 放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)1次ラウンド終了後のタイミングで、爆笑問題の太田光について綴る。

 * * *
 WBC4連勝の興奮のままこれを書いているが、当初は「ヌートバー」の名前がみんな覚えられなかった。きこえてくるのは、「ホラッ、アメリカの侍ジャパン。チョキじゃなくて?」「グーとパー」。「違うよ。ピンク色の夫婦みたいな?」「ペーとパー」。「写真撮れ。ホラ裸でハイボール飲んでるみたいな名前」「ヌードバー」。「摘発されてろ」と大混乱。大活躍のお陰で名前も覚えたし、お母ちゃんのゆかいなキャラクターも日本中に知れ渡った。

 そして何たって大谷のホームランである。自分がCMをつとめる広告看板直撃。翌日、スポニチの一面見出しがみごと。「大谷看板役者弾」。相当な芸能への造詣の深さである。他紙はすべて「看板弾」。“看板役者”という言葉をチョイスするところに侍ジャパンの意味がある。二刀流というエンタメ歌舞伎なのだ。昔はといえば「かんばんわ」と言えば「森進一です」だったのが今は「看板は?」大谷である。

 私も宮本武蔵以来様々な二刀流をこの目で見て確かめてきたがもう一度「五輪書」から読み返し、大谷の偉大さを噛みしめようと思っていたところへ……オオタニとたった一文字違いでとんでもない二刀流が現われた。その名は爆笑問題のオオタである。あれだけテレビとラジオ、そしてライブをやっている最中、家へ帰ってはコツコツと小説の執筆をしていたのだ。評論家なぞにはなり下がらず、常に生み出し、クリエイティブしつづける頼もしき後輩である。「芸能」と「文化」の二刀流。太田……いやっ今日からは太田先生、太田文豪と呼ばせて下さい。

 530ページを超える超大作、普通なら上下巻と2冊にするボリュームの原稿を2段組みでこの厚さである。当初は映画にしようとシナリオ化したようだが、それが叶わず小説に仕立て直したというこの努力の結晶。4年、5年という歳月をかけて書きあげた『笑って人類!』(幻冬舎)。この創作力・熱量すべて文句なし。肝心な中味は……すまんWBC終わったら読み始めるわ。

 帯には「世界の平和のため、ダメダメ総理が獅子奮迅!?」とある。太田先生からそっと手紙が添えられてあって「イメージとして“社長漫遊記”です」と嬉しいツボを突いてくる。「そこに“無責任シリーズ”と“ローマの休日”を合体させました」。映画青年太田先生の面目躍如である。森繁がのり平が植木等とオードリー・ヘプバーンが躍動する。ああもう読んじゃおう。

※週刊ポスト2023年3月31日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン