駐留アメリカ人が撮った「占領期のニッポン」 公式写真には写らない戦後社会のリアル
銀座4丁目の三越百貨店前を歩く2人組の晴れ着の女性。国民服などの地味な服装の人々の中で、一際目立ったので、思わずシャッターを押したのだろう(1946年正月、撮影者不明)
新橋駅前の闇市を収めた数少ない写真。マグロやさつま揚げが売られている。画角から推測すると、新橋駅に停車中の列車から撮られている。おそらく米軍人は立ち入りを禁止されていたのだろう(1946年2月13日、撮影者不明)
慌ててカメラを取り出したからか、手ブレしてしまっているが、中央に写っているのは昭和天皇と香淳皇后。憲法施行2周年記念の式典に向かっているところと考えられる(1949年、アンドリュー・ジャクソン撮影)
病院船「高砂丸」から米軍の揚陸艇に担架で移送される旧日本軍の傷病兵。戦地から生きて祖国に帰ってきたという劇的な場面。一方、揚陸艇には洗濯物が干してあり、アメリカ側の日常も垣間見える(1945-46年、ヘンリー・H・ソウレン撮影)
旧参謀本部前から国会議事堂方面に向かう労働運動のデモ隊。紙を見ながら口を開けているので、労働歌を歌っているところか。撮影者はGHQの中で労働運動や治安に関わる部署にはいなかったので、趣味で撮影したと考えられる(1949-52年、ヘンリー・H・ソウレン撮影)
熊本県の旧陸軍隈庄飛行場で、GHQの手によって焼却処分される旧日本軍の軍用機(1945-46年、ヘンリー・H・ソウレン撮影)
焼却処分する前に、重爆撃機「飛龍」から身を乗り出して写真に収まるソウレン氏。記念写真を楽しんだと見られる。このような写真は公式の記録からは出てこない(1945-46年、ヘンリー・H・ソウレンの同僚の撮影か)
南氷洋上の捕鯨船「橋立丸」の甲板で、鯨の上に立って記念写真を撮る捕鯨監督官のベンジャミン・ゴールドバーグ氏。当時、日本人は海外渡航が管理されていたので、GHQの監督官が乗船して監視した(1950-51年、乗組員の撮影か)
敗戦から間もない時期だが、皇居外苑でおしゃれな8人の女児と引率の女性が撮られている。この頃の女児は赤色の服が多い(1952年頃、アルバート・クロード・ジョーンズ撮影)
敗戦の翌年だが、有楽町の日劇前には正月とあって多くの人が集まっている。ほとんどが黒やカーキ色の服をまとっている(1946年正月、撮影者不明)
映画『桜御殿』(1948年制作)のロケ地となった奈良公園での撮影現場。白黒の映画なので、オレンジ色の白熱灯でも問題なかったようだ(1948年5月、ヘンリー・M・ヒルズ撮影)
新橋の大衆酒場の前でキスをする日本人男女。鉢巻きをしている男性は、背後の酒場の板前か(1949-52年、ヘンリー・H・ソウレン撮影)