世の中にはさまざまなダイエット法があるが、なかには“日本人に合わない”方法も少なくないという。そこで、日本人に合ったダイエットについて、予防医学の第一人者の奥田昌子さんが解説する。
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寒さが緩み、薄着になると、気になるのがお腹の脂肪です。今年こそやせたいと考えながら「これまでダイエットがうまくいったためしはないし、そもそも親も太っていたから、私はやせられない体質なんだ」と諦めムードの人もいるかもしれません。確かにそういう傾向はあり、両親がともに普通体重だと子供が肥満になる確率が10%なのに対し、両親のどちらかが肥満だと50%になり、両親ともに肥満の場合は80%まで跳ね上がるといわれています。
ただし、ここには生活習慣も関係しています。家族は食生活も運動習慣も似ていることが多いからです。実際に、遺伝が原因で基礎代謝量が低く、太りやすい人の体格を調べたところ、生活習慣の違いによって、太った人、普通体重の人、やせた人が、ほぼ同じ割合でいたそうです。つまり、太りやすい遺伝子を持っていても、それを自覚して生活習慣を改善すれば、遺伝によるハンデを乗り越えることができるのです。
意外と落としやすい内臓脂肪
日本人の肥満の特徴は、お腹が出る人が多いことです。この正体は内臓脂肪です。
体の脂肪は大きく皮下脂肪と内臓脂肪に分けられます。皮下脂肪は皮膚のすぐ下にある皮下組織に蓄積し、あごや二の腕のたるみの原因になります。一方で内臓脂肪は胃や腸など臓器のまわりにつくという特徴があります。欧米人の体には主に皮下脂肪がつくのに対し、日本人は内臓脂肪がつきやすく、太るときは、まずお腹が出てきます。
これは遺伝で決まっていて変えることはできませんが、幸いにも内臓脂肪は皮下脂肪と比べて活動が活発で、しぶといイメージとは裏腹に落ちやすいという特徴があります。
内臓脂肪が1kg増えるのに必要なカロリーは7000kcalです。仮に、1本が70kcalの缶コーヒーを毎日1本飲むとすると、70kcal×365日=2万5550kcalで、1年で内臓脂肪が3.7kgつく計算です。「チリも積もれば山となる」ということですが、その逆に、それまで飲んでいた缶コーヒーをお茶に替えれば、1年で3.7kg落とせます。小さな努力を続けるだけで、お腹の脂肪は自然に退治できるのです。最近は加工食品にカロリー表示が義務づけられていますし、メニューに記載しているレストランもあります。確認してなるべく低カロリーのものを選ぶのを習慣にしましょう。
その上で、特に気をつけたい食材と、努めて摂取したい食材があります。
控えたい食品の1つが、肉や揚げ物、牛乳・乳製品、生クリームたっぷりの洋菓子など動物性脂肪の多い食品です。動物性脂肪に含まれる飽和脂肪酸は脂肪に変換されやすいため、カロリーが同じであれば、動物性脂肪を含まず、日本人に長く愛されてきた和菓子の方が太りにくいといえます。
2つめが果物です。果物にはビタミンやミネラルが含まれているため、積極的に食べている人が少なくないでしょう。しかし、ダイエットしたいなら果物には要注意です。果物に含まれる果糖という糖は、体に入ると内臓脂肪の材料である中性脂肪に変わるからです。果物の栄養成分はほとんどが野菜からも摂取できます。果物にこだわらず、野菜からも幅広く摂取してください。