効果的なダイエットを実践するには、体質を知っておく必要がある。日本人であれば。どういった運動や生活習慣がダイエットに繋がるのだろうか。日本人に合ったダイエットのための運動法について、予防医学の第一人者の奥田昌子さんが解説する。
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減量には運動は欠かせません。大きな負荷をかけて瞬間的に力を入れるダンベル体操やスクワット、腕立て伏せなどの筋力トレーニングで筋肉を増やすと基礎代謝量が上がってやせやすくなるという話があります。お腹の脂肪を落とそうとして、一生懸命に腹筋運動をする人もいますね。基礎代謝量とは、心も体も安静にしているときに消費する必要最小限のエネルギーのことです。基礎代謝量が上がれば、一日を通じてエネルギーがそれだけ多く燃えることになります。
しかし、そうはいきません。問題は3つあります。1つは、日本人は頑張って筋トレしても、欧米人と違って簡単に筋肉がつかないことです。筋肉の特性には遺伝による人種差があり、日本人を含むアジア人は欧米人やアフリカ人と違い、筋肉の持久力は高いものの、筋力が弱く、筋肉がつきにくいのです。2つめは、仮に猛烈に鍛えて筋肉を1kg増やしても、基礎代謝量の増加はキャラメル約1粒分のカロリーに過ぎないことです。
そして3つめが、脂肪の量も基礎代謝と比例していることです。脂肪が減ると基礎代謝が下がるため、筋トレで筋肉を1kgつけても、脂肪が2kg落ちたら基礎代謝量はほとんど増えません。
筋トレのほかに、サウナや岩盤浴で体を温めると代謝が上がるという説もあります。しかし、その程度の体温上昇で代謝量は変化しません。入浴でダイエットしたいなら、就寝する2時間ほど前にぬるめのお湯に入りましょう。これにより、寝つきがよくなってやせやすい体につながります。
肥満の意外な原因が睡眠不足です。睡眠時間が不足すると、食欲を刺激するグレリンというホルモンの働きで食欲が高まる一方で、満足感をもたらすレプチンというホルモンが減るため、食べても満腹感が得られません。食欲がおさまらず、つい食べすぎてしまいます。その結果、睡眠時間が短い人ほど肥満度が高いことが確認されています。
そして、覚えておきたいのが、日本人は基礎代謝量が年間で変動することです。気温が上がる春と夏は基礎代謝量が一年で最も低くなります。これは遺伝で決まっているため、基礎代謝を上げようとして効果の少ない努力をするより、春は秋や冬以上にカロリーの摂りすぎに気をつけてください。うっかり食べすぎてしまったら、それから3~4日は意識して脂質の摂取を減らします。