スポーツ

注目集める栗山英樹監督の「信じる力」 3つの段階と3つの要素で侍ジャパンを分析

WBC開催前に開かれた記者会見での栗山英樹監督(右)と大谷翔平(AFP=時事)

WBC開催前に開かれた記者会見での栗山英樹監督(右)と大谷翔平(AFP=時事)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で日本代表、侍ジャパンを率いた栗山英樹監督(61才)の「信じる力」について。

 * * *
 WBCで侍ジャパンを優勝へと導いた栗山英樹監督。その信じる力が話題になっている。この力が際立ったのが準決勝のメキシコ戦。メディアで何度も報じられた準決勝9回裏のあの場面だ。1点を追う侍ジャパンは無死一、二塁の場面で、続く打者はこの日3打席連続三振の村上宗隆選手(ヤクルト、23才)だった。

 栗山監督はこの時のことを日本記者クラブの会見で、「最終的に僕はムネ(※村上宗隆)の勝負だって本当に思った」「ムネと心中と思っていた」と語った。応援していた多くの観客や視聴者は、打て!打ってくれと願いながら、三振続きの村上選手に一抹の不安を抱えていたと思う。しかし村上選手は、センターオーバーする二塁打を打った。

 この時、栗山監督からメッセージを託され、村上選手のもとへ向かった城石憲之コーチ(49才)は、メディアでこう語った。「最初、バントか、代打か、みたいな顔をされたんですけど、監督の言葉を伝えて、思い切って行ってこいと言った時のあのムネのスイッチの入った表情は一生忘れないと思う」。

 信じるという信頼には3つの段階がある。1段階目は”信頼できる”だ。これは心理学者のエリクソンが、信頼を「普通の意味でほどよく人を信頼する」と述べているような感覚だろう。2段階目が”頼りにできる”である。いざという時でも信頼できるがどうかだ。そして3つ目の段階が”任せておける”だ。栗山監督は大会前、「選手を送り出して頼む、打ってくれ、とか抑えてくれとかベンチでは絶対に思わない」と語っていた。村上選手に任せておけるという信頼が栗山監督の中にあったのだ。

 白井一幸ヘッドコーチ(61才)が栗山監督のこの「信じる力」について、帰国後、メディアに出演する度に語っていた。信じると口で言うのは簡単だが、3段階目のレベルまで信頼するのは、なかなか難しいものだ。では相手に対する信頼というものがどう決まるのかといえば、そこには3つの要素があるといわれる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

女優の広末涼子容疑者(44)が現行犯逮捕された
「『キャー!!』って尋常じゃない声が断続的に続いて…」事故直前、サービスエリアに響いた謎の奇声 “不思議な行動”が次々と発覚、薬物検査も実施へ 【広末涼子逮捕】
NEWSポストセブン
再再婚が噂される鳥羽氏(右)
《芸能活動自粛の広末涼子》鳥羽周作シェフが水面下で進めていた「新たな生活」 1月に運営会社の代表取締役に復帰も…事故に無言つらぬく現在
NEWSポストセブン
「居酒屋で女将をしている。来てください」と明かした尾野真千子
居酒屋勤務を告白の尾野真千子、「女優」と「女将」の“二足のわらじ” 実際に店を訪れた人が語る“働きぶり”、常連客とお酒を飲むことも
週刊ポスト
運転中の広末涼子容疑者(2023年12月撮影)
《広末涼子の男性同乗者》事故を起こしたジープは“自称マネージャー”のクルマだった「独立直後から彼女を支える関係」
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
《病院の中をウロウロ…挙動不審》広末涼子容疑者、逮捕前に「薬コンプリート!」「あーー逃げたい」など体調不良を吐露していた苦悩…看護師の左足を蹴る
NEWSポストセブン
北極域研究船の命名・進水式に出席した愛子さま(時事通信フォト)
「本番前のリハーサルで斧を手にして“重いですね”」愛子さまご公務の入念な下準備と器用な手さばき
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《中山美穂さん死後4カ月》辻仁成が元妻の誕生日に投稿していた「38文字」の想い…最後の“ワイルド恋人”が今も背負う「彼女の名前」
NEWSポストセブン
山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
広末涼子容疑者(写真は2023年12月)と事故現場
《広末涼子が逮捕》「グシャグシャの黒いジープが…」トラック追突事故の目撃者が証言した「緊迫の事故現場」、事故直後の不審な動き“立ったり座ったりはみ出しそうになったり”
NEWSポストセブン
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン