長髪でマイクを握り、英語で熱唱するプログレッシブ・ロック・バンドの先駆けが「ゴダイゴ」だった。1970年後半から1980年代前半にかけて、『ガンダーラ』『モンキー・マジック』『ビューティフル・ネーム』、そして『銀河鉄道999』と立て続けにヒットナンバーを出して人気バンドとなった。1985年に解散したものの、2006年に再始動を宣言。ボーカルのタケカワユキヒデさん(70)は現在も精力的に歌い続けている。
今年デビューして48年目となるタケカワユキヒデさんは当時を振り返り、1978年10月にリリースした「『ガンダーラ』が売れなければ解散するしかないと思っていました」と、打ち明けた。
「ゴダイゴは1976年の結成当初から妻帯者バンドだったんです。ミッキー(吉野)とスティーヴには奥さんがいて、僕も1977年に結婚しましたので、僕らは自分たちのアルバムを制作しながら副業でテレビの音楽の仕事やCM、そして他のアーティストのアルバム制作を手伝っていました。それでもメンバーは食べていくのがやっとの状況でした」
1977年には、ゴダイゴの音楽活動の母体となっていたアメリカの音楽出版社が撤退。後ろ盾を失ったゴダイゴは、崖っぷちに追い込まれた。
「僕たちが世の中に出て行けなかった理由は2つあったと思っているんです。1つは、僕たちがバントを結成した1976年当時は売れたバンドがいなくて、アンダーグラウンドな存在に捉えられてしまうことがあったんです。
2つ目は、カッコイイと思ってやっていたんですけど、すべての曲を英語で歌っていたのが世の中に浸透しませんでした。僕自身は英語で歌うスタイルを変えるつもりはなくて、そのまま突き通して世界的なヒットを出すことが望みでした」
しかし、タケカワさんが1978年に公開されたドキュメンタリー映画『キタキツネ物語』の音楽に携わることを機に、「日本語で歌う」ことを決断。その選択がその後の人生を大きく変えた。