多くの人がマスクを外して4年ぶりの花見を楽しむ中、都内在住のHさん(53才・仮名)は浮かない顔だ。
「半年ほど前、新型コロナに感染して療養期間を終えましたが、いまも体調不良が続いています。体が重くて少し動くだけでどっと疲れるし、頭がぼんやりして考えがまとまりません。とはいえ明らかな病気というわけでもないので、通院をためらっています」
ようやく新型コロナが収束して日常が戻ってきたが、Hさんのようにコロナ感染後の長引く体調不良に悩まされる人は多い。いまも感染とワクチン接種の「後遺症」がまん延している──。
「世は“コロナは終わった、マスクを外せ”一色ですが、2021年秋にオミクロン株が国内で確認されコロナ患者が爆発的に増加してから、コロナ後遺症に苦しむ人の数はむしろ増えています」
そう語るのはヒラハタクリニック院長の平畑光一さんだ。コロナ発生後、全国に先駆けて後遺症専門外来を立ち上げた平畑さんは、感染後に長きにわたって体調不良を訴える多くの患者を診察してきた。コロナ後遺症の症状は疲労感や倦怠感、関節痛や味覚障害が代表的だが、いまもその傾向は続いていると平畑さんが話す。
「症状は当初とほとんど変わりませんが、強いていえば咳が増えて味覚障害が減っています。頭に霧がかかったようになり、記憶力や集中力が低下するブレインフォグは引き続き発症しています」
ただ最近、感染の程度により後遺症の種類が若干異なることがわかってきたという。
「イギリスの調査によると、感染時の症状が重かった人は呼吸器系の後遺症になりやすく、症状が軽かった人は倦怠感や疲労感が出やすいそうです。オミクロン株の登場以降は圧倒的に軽症が増えたため、現在は倦怠感・疲労感を訴える人が目立ちます。
恐ろしいのは感染時に軽症だったからといって後遺症自体が軽くなるわけではないということ。感染時の症状は軽かったのに、療養期間後になって重度のだるさから自力でトイレに行けず、家族に介護されている若い女性もいます」(平畑さん・以下同)
いまだ脅威のコロナ後遺症の治療法として、平畑さんは「鼻うがい」をすすめる。
「最もウイルスに感染しやすい上咽頭部分を洗浄することで侵入したウイルスを洗い流すことができます。また、ウイルスで生じる炎症性サイトカインは咽頭部から脳に伝わりブレインフォグを起こすとされるので、鼻うがいで咽頭部の炎症を緩和すると脳由来の症状が改善しやすくなります」
病院に行く場合は、漢方医や漢方について言及しているクリニックであることが選ぶ際のひとつの目安になる。
「疲労感にさいなまれて寝たきりになった患者に炎症を治す漢方と血行をよくする漢方を処方したら、1か月で症状が改善しました。ただし効果は患者によって異なり、2〜3週間漢方を服用しても効果がなければ薬を変えるべき。また、人によっては鍼灸で改善することもあるので、西洋医学でなかなか改善しない人は一度試してほしいです」
※女性セブン2023年4月13日号