1980年代、日本の音楽シーンに旋風を巻き起こしたシティポップ。洋楽の影響を受けたシンガーソングライターたちによる爽やかで都会的なメロディに、男も女も酔いしれた。そんな昭和を彩った名曲の数々が、令和の世に世界を席巻している。
シティポップはSNSや定額制の音楽配信で瞬く間に世界を席巻した。音楽ライターの栗本斉氏も驚きを隠せない。
「マニアだけが知っている曲やアルバムにしか入っていない曲が、突如世界で脚光を浴びた。これほどのブームになるとは誰も想像していませんでした」
シティポップとはどんな音楽なのか。
「最大の特徴は、ジャズやソウルなどのブラックミュージックに影響を受けたリズムやコード進行です。メロウでアンニュイなサウンドが洗練された都会の風景を浮かび上がらせ、アメリカ西海岸で聴こえてくるかのような、爽やかな音楽がメインストリームになりました」(栗本氏)
ブーム到来で再評価されているのは、山下達郎や角松敏生、竹内まりや、杏里といった昭和を代表するアーティスト。青春時代を彩った楽曲が今、世界の若者たちの胸を躍らせる。
現在のシティポップブームにおける代表的な3曲を紹介する。
●竹内まりや『プラスティック・ラブ』(1984年)
作詞・作曲/竹内まりや
世界を魅了したシティポップブームは竹内まりや『プラスティック・ラブ』(1984年)から始まった。韓国のDJであるNight Tempoが2016年に公開したリミックス動画で世界的な反響を呼んだ。翌2017年には非公式でアップされた動画が4000万回以上の再生数を記録。小気味よいリズムに合わせたコンテンポラリーなサウンドがモダンな雰囲気を醸し出す竹内の代表曲。
●松原みき『真夜中のドア~Stay With Me~』(1979年)
作詞:三浦徳子/作曲:林哲司
若い娘が大人の女性へと成長する様を描いた楽曲。20年に公開されたインドネシアのユーチューバー・レイニッチのカバー動画で注目され、音楽配信サービスSpotifyのグローバルバイラルチャートで18日間連続首位、Apple MusicのJ-POPランキングで92か国でトップ10入り
●泰葉『フライディ・チャイナタウン』
作詞:荒木とよひさ/作曲:海老名泰葉
パワフルな歌唱が印象的な泰葉の代表曲だが、2021年11月にTwitterに投稿された、ロサンゼルスの音楽イベントの動画で人気が再燃。同曲のサビを2000人の外国人が熱狂的に合唱する模様が拡散し、またたく間にブームの牽引役になった。