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藤井聡太竜王が「七冠」に向けて名人戦に挑戦 第5局会場「藤井荘」女将が明かす「旅館名の由来」

名人戦・第5局(5月31日、6月1日)の会場となった「藤井荘」(写真提供/藤井荘)

名人戦・第5局(5月31日、6月1日)の会場となった「藤井荘」(写真提供/藤井荘)

 史上最年少で六冠を達成した藤井聡太竜王。4月5日には名人戦が開幕し、渡辺明名人からのタイトル奪取に挑む。名人位を獲得すれば、史上最年少での快挙となり、全タイトル制覇の「八冠」に王手がかかる。そんな藤井竜王の大活躍に、多くの人が胸を躍らせている。

「日本旅館を運営する者として、日本文化を伝えていける場であるためにどうすればいいかを考えていました。そうしたなかで将棋の名人戦の対局を誘致したいと思い至り、最初はいきなり日本将棋連盟へお電話させていただいたんです。動き始めた理由のひとつにはやはり、藤井聡太さんの大活躍もありました。将棋はまったくの素人ですが、私どもの宿と“同じ名前”なので大変親近感を覚えていました」

 そう話すのは、長野県高山村の山田温泉にある温泉旅館「緑霞山宿 藤井荘」の女将である藤沢晃子社長だ。「藤井荘」は信州高山温泉郷に位置し、創業200年以上の歴史を誇る老舗旅館だ。森鴎外、与謝野鉄幹・晶子、菊池寛、会津八一など文人墨客にも愛された旅館である。今期の名人戦では第5局(5月31日、6月1日)の会場となることが決まっている。藤井荘が初めて名人戦の会場になったのは2021年のことだが、そこに至る経緯について藤沢社長はこう振り返る。

「初めて電話で問い合わせた私に対して、日本将棋連盟の方はとても丁寧に対応してくださいました。会場は宿のある地域を含めての公募制であり、応募があったなかから主催の朝日新聞社、毎日新聞社と日本将棋連盟で組織する名人戦実行委員会により決定されると詳しく教えていただきました。それでますます魅力を感じ、すぐに村役場に行って産業振興課の課長と村長に直談判したんです。

 それで了解を得て、2019年の名人戦会場に応募しました。初めての応募ではあえなく落選になりましたが、それでも諦めず、当時の名人就位式に参加して将棋連盟など関係者の皆さんにご挨拶して回るなど取り組みを進めたんです。翌年も高山村で手を上げてほしいと村長にお願いして、快く了解をいただいた。その結果、応募2年目の2020年は見事第4局会場として高山村および藤井荘を選んでいただけました。その時の飛び上がるほどの嬉しさは、今でも忘れることができません」

 ただ、2020年はコロナ禍により地方での対局がなくなり、藤井荘での名人戦開催は1年スライドして2021年に実現することとなった。

「2022年も応募したところ2年連続というのは叶わなかったのですが、1年の間を置いて今年の開催地に応募したところ、前回の村の歓迎ぶりで関係者の皆さんに好印象を持っていただけたようで、第5局の開催が決まったんです」(藤沢社長)

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