3月30日、北海道・北広島市の新本拠地「エスコンフィールド」の公式戦こけら落としで開幕を迎えた北海道日本ハムファイターズ。収容人数3万5000人の観戦チケットは完売、事前予約制の駐車場も満車になるなど大盛況だった。しかしそれとは裏腹に、日ハムベンチの雰囲気は今ひとつ盛り上がりを欠いているという。スポーツ紙記者が語る。
「今年はキャンプの時から新庄剛志監督が近寄りがたいオーラを出しているんです。試合前のアップ時などで選手の動きが悪いと、すぐに監督の矛先がコーチ陣に向かう。ベンチにいる全員が顔色を見てピリピリしているような状況ですよ。開幕戦でのパフォーマンスが静かだったことも昨年とは違っていて、監督の今シーズンに懸ける真剣さを感じます」
昨シーズン、新庄監督は「優勝は一切目指さない」と発言したが、今シーズンは「優勝しか目指さない」と方針を180度転換した。さらに「BIGBOSS」の称号を捨て、今シーズンからは「SHINJO」と書かれたユニホームを着て戦いに臨んでいる。本人はその理由について「もうチャラけられないから」と説明している。
「そのくらい今年が“勝負の年”ということです。チーム作りを自由にやらせた昨シーズンはまだしも、今シーズンも最下位ならフロント陣から厳しい評価になることは必至。このまま弱小球団のレッテルが貼られては、新球場の客足にも関わりますからね。監督は1年契約ですし、結果次第では“お役御免”になってもおかしくない。
ただ、そんな状況にもかかわらず、シーズンに入っても“悩み”を感じるシーンが見られる。今シーズンの日ハムはキャンプ中から打順を固定してきたが、3月30日の開幕戦にはそれまでの打順を大きく動かすオーダーで臨んだ。この采配には首をかしげる選手もいました」(スポーツ紙デスク)
仮に新庄監督が今シーズンで退任となった場合、「後任の最有力候補は、ゼネラルマネージャー(GM)である稲葉篤紀氏との見方が強い」(スポーツ紙デスク)が、もう一つ残された“ウルトラC”があるという。
「栗山英樹氏のカムバックです。WBCでの優勝後、自宅のある北海道栗山町でセレモニーが行なわれましたが、多くの町民が集まって祝福していた。3月30日の開幕戦のファーストピッチセレモニーで、彼が急遽登板した際も、観客は大声援を送っていました。今さらですが新庄監督を超える人気ぶりです。栗山監督はまだ球団に“プロフェッサー”の肩書きで在籍しており、可能性は十分あるでしょう」(スポーツ紙デスク)
WBCで日本中を感動の渦に包み込んだ栗山マジックが再び見られるか。
※週刊ポスト2023年4月21日号