世界中で再評価されているのが、1970年から1980年代にかけて日本の音楽シーンを席巻したシティポップだ。その王道ソングとして人気が高いのが、杉山清貴&オメガトライブの『ふたりの夏物語 NEVER ENDING SUMMER』(1985年)。
通算5枚目のシングルとなる『ふたりの夏物語 NEVER ENDING SUMMER』は、ベース音のリズムが曲全体を軽やかに彩るサマーチューンで、海岸沿いのドライブにぴったりの名曲だ。作曲を手がけた林哲司氏は、わずか3日間で仕上げたという逸話も残る。再び、世界で注目を集めるようになった『ふたりの夏物語』の思い出とシティポップブームについて、杉山清貴に話を聞いた。
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1980年代のシティポップが流行っているという実感はなかったのですが、昨年頃からインスタグラムに海外の方からのコメントが増えて、面白く感じています。
『ふたりの夏物語』は日本航空「JALPAK ’85」のCMに起用されました。実は先にタイアップとサビの1フレーズだけが決まっていて、林哲司さんによると突貫工事のように急いで作った曲なんです。僕もツアー先から急きょレコーディングに呼び戻されて。林さんとはお互いに、「あんなに売れると思わなかったよね」って言っています(笑)。
1980年代は、1970年代に頑張ってきた日本が一気に弾けるような時代だったので、ああいう明るい歌がウケたのではないでしょうか。当時の歌の世界はドラマ性を大事にしていた。こうした短い小説のような作品はプロの作詞家、作曲家でないと書けない。言葉と音のプロが作った世界が、時代を超えて響いたのでしょう。
【プロフィール】
杉山清貴(すぎやま・きよたか)/1959年生まれ、神奈川県出身。1983年、杉山清貴&オメガトライブとして『SUMMER SUSPICION』でデビュー。2023年5月10日、デビュー40周年を記念する『オールタイムベスト』とオリジナルアルバム『FREEDOM』を同時リリース。
※週刊ポスト2023年4月21日号