警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、中国から飛ぶ偵察用気球への対応について。
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2023年2月1日にアメリカ本土上空を飛行し、米軍戦闘機F22ステルス機に撃墜された中国の気球。当初、中国側は民間の気象観測用気球だと主張していたが、米政府は偵察用と断定し撃墜。その様子がニュースで流れていたのは記憶に新しいところだ。その気球が、複数の米軍基地の電子情報傍受に成功し、リアルタイムに中国に情報を送信していたと、4月3日、米NBCテレビが政府高官らの情報として報じた。
「米軍は偵察機で気球に搭載された装置を確認してから撃墜している。気球の下にはおよそ1トンもの搭載物があり、大型バス数台分に匹敵するぐらい大きさ。落とす場所を選ばないと危険だったはずだ。残骸からセンサーや電子機器なども回収したと聞いた」と話したのは元米軍関係者S氏だ。
米国では4日に気球を撃墜したのに続き、アラスカ州沖やカナダ北西部、ミシガン州上空でも似たような未確認飛行物体を撃ち落としているが、米国ではそれ以前にも似たような気球は観測されてきた。2022年6月にはハワイで気球が墜落。情報機関が回収して分析したところ、機器には中国語が書かれており、偵察用だとみられている。S氏は「ハワイには重要な軍事基地があるからね」。
これまで指摘されてきたように気球は滞留時間が長く、人工衛星に比べ高度的に地上に近い所を飛ぶことができる。人工衛星などでは収集することができない情報や画像を撮影することができるし、探知されにくいといわれている。今回撃墜された気球も当初の目的地はグアムだったと、2月14日の米ワシントン・ポストが報じている。記事には米政府関係者の話として、”米軍は中国が海南島から気球を飛ばした後、米領空に入るまでの約1週間、気球を追跡していた”とある。ルート的には米軍が駐留している台湾や米軍基地のあるグアムの情報収集が主な目的だったと考えられている。
専用の部屋にある専用の”鍵付き電話機”
だが気球は、風まかせでどこに飛ぶかわからない。この気球は偏西風に流されアメリカ本土へ飛んでいった。ワシントン・ポストの報道通りなら、米国側はずっと気球を監視していたということだ。情報機関の分析により偵察用気球だと推測されていたのだから、領空に入った時点で撃墜することもできただろう。だがバイデン政権が気球を撃墜したのは、アメリカ本土の上空を飛行してから8日目のことだ。